事件5 終 ページ21
あの後調査兵団本部に戻ることになり、教官から誰かAに付き添うように言われた。
クリスタが手を挙げ、ミカサが挙げかかっていた手をしぶしぶと降ろすのが見えた。
｢ライナー...A、大丈夫かな...｣
｢...心配だが、大丈夫だろう。命に別状はないと医者も言っていた。｣
ライナーの言葉にもう一度安堵しながらも、仲間の緊急事態にはやっぱりハラハラしてしまうもので。
｢おら、もう行くってよ。荷物持てベルトルト。｣
｢あっ、ちょっと待ってくれよライナー！！｣
僕は慌てて荷物を背負い、先に行ってしまったライナーを追いかけた。
...
「ごめんなさい。」とAが食堂の隣にある談話室に来るなり、頭を下げた。アルミンとエレン、そして共に長椅子に座って本を読んでいたミカサが顔をあげ、下手くそな手製のチェス盤の駒を半ば放心状態で動かしていたジャンとそれに付き添っていたマルコが振り向き、そしてサシャとコニーが彼女の言葉に駆け寄る足を止めた。
｢ミカサもエレンも、私が自己判断を誤ったせいで、｣
｢A、｣
｢皆も、迷惑かけてごめんなさい。｣
｢そんな風には誰も思ってないよ｣とアルミンが慰めようとするのを遮って、エレンがAよりも深く頭を下げた。
｢..エレン？｣
｢ごめん...俺がもっと早く止めるべきだった。｣
｢そんな、｣
｢Aが倒れた責任は同じ班員の私にも責任がある。ごめんなさい。｣
いつの間にか本を置きエレンの隣に立っていたミカサとアルミン、そして皆に囲まれたAが、驚いた表情を浮かべる。エレンが彼女の肩に自分の手を置いたと思えば、ミカサが突然Aを抱きしめた。思わず｢えっ、｣と声が出る。
｢み、ミカサ...？｣
｢った...｣
｢え？｣
｢助かって、良かった...｣
ぎゅう、と音がでそうなほど抱き締められるAは、驚いて目を瞬かせている。そんなAの頭をエレンが愛おしそうに撫で、アルミンがその様子を微笑ましい顔で見ていた。と、そんな時、どこからか｢ちょっと！｣と言う声が響く。その声にライナーがいち早く反応する。
｢A！安静にしてないとダメじゃない！！ミカサも、そんなにきつく抱きしめたらAが潰れちゃうよ！！｣
｢...あ、ごめん。｣
Aに付き添っていたクリスタが、｢もう！｣と、頬を膨らませながらAを連れ去っていく。そんなクリスタを見ながらライナーが｢俺も看病されたい。｣と言ってるのを見て、アニが軽蔑の視線を送っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 151人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「進撃の巨人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぐりーん(プロフ) - 感慨深いですね…主様の小説惚れ込んでしまいました (2023年3月4日 2時) (
レス) @page48 id: deeadad018 (このIDを非表示/違反報告)
yu - 梦雨さん» idは異なってますが、作者のyuと申します！感想いただけて嬉しいです。ありがとうございます。8年前書いてた私も喜んでると思います。笑笑 これからも進撃の巨人を愛していきましょうね！ (2021年4月12日 22時) (レス) id: 05cea5771c (このIDを非表示/違反報告)
梦雨 - 初コメ失礼します。更新お疲れ様でした…！！ついさっきこのシリーズを読み始めたのですが、面白くてあっという間に読み終わってしまいました！とても面白くて感動するお話でした…！素敵なお話をありがとうございました；；本当にお疲れ様でした！！ (2021年4月12日 21時) (レス) id: 508416840e (このIDを非表示/違反報告)
yu - あいあいさん» うおおおお？！死なないでください！？ (2014年7月3日 20時) (レス) id: ef5ac8aecf (このIDを非表示/違反報告)
あいあい - いっかい死んでくる☆ (2014年7月3日 19時) (レス) id: 264268f028 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：yu | 作成日時：2013年11月2日 8時
