事件2 ページ18
｢痛っ｣
｢どうしたA？｣
遠征訓練で長い森の中を歩いてる途中に聞こえたAの声に、歩みを止める。
後ろを振り向くと怪訝そうな顔で右足をさするAの姿があった。その足には一筋血が流れていて。どうしたと聞くと、｢分かんない、なんか痛かった｣と答えた。
｢...蛇かもしれない。｣
｢蛇？｣
ミカサの言葉に、エレンが彼女の視線を辿る。その先にいたのはクネクネと動めく毒々しい色の蛇だった。
｢それ危ねえんじゃねえのか！？｣
｢毒を持っていたら危険。A、傷口を洗おう。｣
ミカサが有無を言わさず、軽々しくAを抱き上げる。エレンはミカサが持ち上げたことで行き場をなくしてしまった手を渋々戻した。
｢染みる｣
｢我慢して。｣
川で傷口を洗うために太もも辺りまでたくし上げられた兵服。そこから伸びる白い足に自然と目がいくが、さり気ないミカサの睨みでさっと目を逸らした。
｢...これで良い。A、私が背負っていく。背中に乗って。｣
｢...｣
｢A？｣
傷口を洗い終え、手足を動かすと全身に毒が回ってしまうためミカサが背負っていくと提案した。そんなことしなくても俺が背負っていくのに、と少し不服に思うが黙っていると、Aからの返答がないのに気が付いた。ミカサが眉根を寄せて聞き返す。
すると、Aはしぶしぶ口を開いた。
｢これって、点数制の訓練でしょ...？私のせいで皆に迷惑はかけられない。｣
｢これくらいどうってことない。さっきの蛇に毒があったらどうするの？全身に毒が回ってしまう。｣
｢そうだ。俺が背負っていってもいいんだぞ？｣
俺がそう告げるがその言葉はミカサに華麗にスルーされる。
｢私は歩けるから。ほら、日が暮れる前に行こう。｣
Aが自分でパンツを足の下までおろし、ブーツを履きなおす。俺たちに軽く微笑むと、ずんずんと歩き出した。ミカサと慌ててその後を追いかける。
｢いいか？具合が悪くなったら直ぐに言うんだぞ？｣
｢うん。｣
長い森の道を歩き終え、ゴールの小屋の前に来た瞬間、Aの体がふらっと揺れた。
｢A！｣とミカサが叫ぶ。俺は間一髪で地面に叩きつけられる寸前のAの体を抱き抱えた。
｢熱ッ！？｣
触ったAの体はとても熱かった。
急いで小屋の中にAを運ぶ。中に入るとアルミンやジャンが駆けてきたが、それをミカサが制した。
ミカサの指差す医務室にAを運び込むと、後悔の念が一気に押し寄せてきた。
続く
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ぐりーん(プロフ) - 感慨深いですね…主様の小説惚れ込んでしまいました (2023年3月4日 2時) (
レス) @page48 id: deeadad018 (このIDを非表示/違反報告)
yu - 梦雨さん» idは異なってますが、作者のyuと申します！感想いただけて嬉しいです。ありがとうございます。8年前書いてた私も喜んでると思います。笑笑 これからも進撃の巨人を愛していきましょうね！ (2021年4月12日 22時) (レス) id: 05cea5771c (このIDを非表示/違反報告)
梦雨 - 初コメ失礼します。更新お疲れ様でした…！！ついさっきこのシリーズを読み始めたのですが、面白くてあっという間に読み終わってしまいました！とても面白くて感動するお話でした…！素敵なお話をありがとうございました；；本当にお疲れ様でした！！ (2021年4月12日 21時) (レス) id: 508416840e (このIDを非表示/違反報告)
yu - あいあいさん» うおおおお？！死なないでください！？ (2014年7月3日 20時) (レス) id: ef5ac8aecf (このIDを非表示/違反報告)
あいあい - いっかい死んでくる☆ (2014年7月3日 19時) (レス) id: 264268f028 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yu | 作成日時：2013年11月2日 8時
