肆* ページ5
*普side*
笑っ…た…神楽坂さん…。
か、…か…
普「…かわいぃ………」
ズルズルとその場に蹲る。また明日と言って微笑んだ彼女がまだ脳裏に焼き付いている。
神楽坂 A。
俺の、初恋の人。
光を浴びてキラキラと輝く黒髪。
すらっとした指や、長い足。
切れ長の瞳には夜空のような美しい色が宿ってる。
初めて神楽坂さんを見た時、天使なのかと思った。
話したい、近付きたい、
そう思ってはいたけど、話しかける話題もなく、昨日まで黙りを決め込んでいた。
隣の席になれただけでも幸運だと。
でも昨日、先生に放課後残るようにと言われた。
きっとこの怪我のことだろう。
なんて言い訳しようか、と思っていたら
横目に写った黒髪に驚いた。
ちら、と見てみると、神楽坂さん。
普(…本、読んでる)
何をしてても絵になる…。
と、まぁ見とれていたら、先生がひょっこりと顔を出した。
神楽坂さんと先生が話しているのを聞き流していると、ガタリと音を立て神楽坂さんが席を立った。
「…じゃ、私は帰りますね。さようなら先生。…柚木くん。」
びっくりした。
まさか神楽坂さんが、俺の名前を呼ぶなんて。
普「え…あ…さよなら、神楽坂…さん」
突然の事でそれしか言えなかった。
遠ざかっていく背中をぼーっと眺めていたら、先生に叩かれた。
土籠「お前は人の話を聞いてんのか」
普「いった……聞いてる聞いてる」
叩かれた所をさする。痛いなぁもう。
土籠「…お前、もしかして神楽坂のこと好きなのか」
ドンピシャに言い当てられて動きが止まる。
なんでそれを……
土籠「…わっかりやすいねぇ……」
普「…煩いな、別にいいでしょ。」
その後結構先生にいじられた。
本当、悪趣味。
普「…でも、神楽坂さんと…約束できてしまった…」
咄嗟に握った右手を、彼女は振り払わなかった。
それだけでも勘違いをしてしまいそうなほど、俺は神楽坂さんが好きなんだと知った。
普「……明日から、少し楽しみできたかも。」
ふと、窓の外を見ると、門が閉まりかけてた。
普「あ！やば！！早く帰らないと！！」
明日は神楽坂さんとなにをしよう。
色々な妄想を膨らませながら、茜色の校庭を、校門まで走った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 33人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
神埜(プロフ) - ふわさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2019年9月18日 23時) (
レス) id: 18603f0b2d (このIDを非表示/違反報告)
ふわ - 神作品の予感しかしないですわ (2019年9月15日 21時) (レス) id: 52abb0a881 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：神埜 | 作成日時：2019年9月15日 18時
