四角関係 【レン】 ページ10
《世界に矛盾が生じることになりますが、レン君は居ることにしてください、お願いします》
この頃レンの様子がおかしい、と俺、藤木コウタは思っていた。
確実に任務はこなしてるんだが、支部に戻ればぼーっとしてる。
でもただぼーっとしてるんじゃなくて、一点を見つめるように。
しかもその一点が動いているんだ。
榊博士に許可もらってメディカルチェックの結果とか見たけどなんにもなし。
考えすぎかな、とラウンジへ戻ると、問題の対象はいた。
ソファに座ってあの初恋ジュースを飲んでいる。
正直、あれも異常に加えたかったが個人の自由だったから止めておいた。
とりあえず、自分は怪しまれないように遠くのソファで監視を始めた。
レンが視線を上げる。
「新しいナンクルナイザー!今度はみかん味!」
『あれ、随分平和になったね?』
ナナとAだった。このうちどちらかを見ていることになる。
場合によっては警戒を促さなきゃならない。
「あ、忘れてきちゃった。部屋から持ってくるよ、待ってて!」
猫耳のような髪を揺らしてナナが去る。待機を要請されたAは小さく手を振っていた。
レンの視線は________そのままだった。
対象はAか。
監視カメラのように動かず、目を離さない。
すると、側にジュリウスさんが現れた。どうやら任務の同行を頼んでいるみたいだ。
二人が話し始めてレンの目付きがかわる。明らかに嫉妬してる。
そんなに好意があるのか、とため息をつくと、レンの姿はなかった。
まさかと思って立ち上がるとコップが揺れる。
「俺、焦ってんのか?」
必死で探したがそんなに時間は掛からなかった。レンはエレベーター前にいた。
きっとAはナナを迎えに行ったんだろう。
偶然を装ってレンとエレベーターに乗る。
「今夜、もういいかなー」
言い終わると同時に扉は閉まる。言う前から嫌な予感はしていた。
乗ってて正解。何とかしないとAが危ない。
本気で思った俺は腕を掴んだ。
「何言ってんだよ、言っていいこととそうじゃないの区別つけろよ!それにAは」
「誰とも付き合っていない、でしょ?でもこれはあなたの知識です。」
「ブラッド隊長と付き合ってますよ。コウタさん」
好きな訳じゃない、そんなはずなのに動揺する。そんな俺をみて口角をあげるレン。
エレベーターを降りたレンは表情を変えずに振り向いてこう言った。
「良いですね、四角関係ですか?」
自分の気持ちもよくわからずにドアが閉まる。
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ルーネスガルディン - 死神のシャルロットだ。、、、此処は? (2016年6月13日 12時) (レス) id: e3be47b955 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白い屈み | 作成日時:2015年8月18日 15時