堕天

15.逆転 ページ42

「たとえ、その小悪魔でこの状況を記録しても‥。【おまえが】その情報を出すことで‥、信用度はゼロなんだよ。」

ドスの聞いた低い声で、言葉を連ねる神。

普通だったらそうだ。
‥でも、それはある前提があってこその話。

「あなたはこの天界で唯一の‥、テレビ放送局‥チャンネルを持っていた‥。」

その前提が、大きく覆る事になったら‥?

「もし‥、そのチャンネル‥‥、天界人全員が持つことができたら‥、どうなるでしょうね?」

B様がパチンと指を鳴らす。
すると、まるで初めからそこに存在していたかのように、数多のタブレットが現れた。

「1つ、さしあげます」＿そう言いながら、B様はふわふわと浮かんだタブレットのうちの一つを神に差し出す。

「なんだ、これは‥。」

しっかりと受け取り、タブレットを覗き込んだ神は、驚愕の表情を浮かべた。

今頃天界の村では、村人達がこぞってタブレットを覗き込んでいるのだろう。


「そして、これがわたしたちのチャンネルBチャンネル！悪魔さんの見ている映像を生配信しています！現在の視聴者20万人！」


B様が声を張り上げ、高らかに言った。

「騙されるな！Bの演技だ！Bが悪だ！」

人目で見ても明らかに混乱している神が、取り乱して叫ぶ。


「ちがう！」


後ろから聞こえてきたその声に、驚いて振り返る。

倒れた兵士達が、憎々しげな表情で、画面に向かって話していた。

「こちら神の親衛隊‥！神は、我々を騙していた！」
「わたしたちは間近で見ていた！Bさまが正しかったんだ！」

「やつら‥、画面に向かってなにを‥。まさか‥。」

神がハッとしたようにB様の方を向く。

ニヤリと笑ったB様は、心底楽しそうに告げた。

「ごらんのみなさん！おすすめのチャンネルがあります！」

「こちら、おすすめの現場の親衛隊チャンネル！他にも神に対して言いたいことがあれば、配信を！」


モニターに映し出された全ての人々から、神への不満が爆発していた。

「神は悪だ！B様こそ正義だ！」「じつは俺も‥。ムリヤリ兵器を作らされていたんだ！」
「神さまテレビのとき、カメラが回っていないとき、じつはスタッフにすごい怒鳴り散らしていた
。」「わたし、神さまにおしり触られたことある！」

あまりにも酷すぎる内容の数々に、私は声を詰まらせた。

「天界のみなさんがチャンネルを作り‥、自信の声を発信しています！鬼ヤバです！_このしすてむ、仮に「ヨーチューブ」とでも呼びましょうか‥。」

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