8,幸せ ページ34
そう自信満々に言い放った瞬間のAさんは、凄く輝いていた。
酔いしれてしまう程の美しさ。
目が釘付けになって離せない。
心臓が一瞬、大きく高鳴る。
「_すみません、私、ヘンな事言っちゃいましたかね…?」
ハッとした時にはもう、いつもの自信なさげなAさんが、弱々しくわたしを見つめていた。
「…いえ。わたしも、明日は必ず成功すると信じていますよ!」
社交辞令で幾度となく口にした"美しい"という言葉も、Aさんの前では気恥ずかしくて言えなかった。
それにしても、Aさんにそんな事を言われてしまうなんて…。
今のわたしは、どれ程自信なさげなのでしょう。
そう、心の中で苦笑する。
「はい!…ですが、やっぱり不安なので、もう一度作戦の確認をしてもよろしいですか?」
「もちろんです!」
すでに10回程繰り返し、ほぼ完璧に暗記した文言。
これはきっと、何度言い重ねても足りないに違いない。
「まず、この作戦はA班とB班に別れます。A班がAさんとシャノワールさん、B班がわたしと悪魔さんです。A班は、手分けして全ての村にタブレットを配り終え次第、放送局に向かいます。B班は、ただひたすら、電波塔の最上階を目指す…それだけです。」
「…ありがとうございます。…それにしても、本当にB様一人だけで大丈夫なんですか?」
震える声で、彼女は問いかける。
「ええ。私を、信じてください」
瞳が大きく揺れた。
「当たり前です。何があっても、信じてますからね」
そう言って、彼女はふわっと笑った。
「ふふっ、やっぱり、笑った顔のAさんが一番お美しいですよ。」
「えっ…!?」
驚いた様子で、Aさんは顔を真っ赤に紅潮させる。
わたしはというと、自然と出てきたその言葉に、少し驚いていた。
「…B様ったら、ほんとズルいですよ…。わ、わたし以外には言わないでくださいね、…なんて。ね、寝ますね!おやすみなさい!」
そそくさと逃げるように自分の部屋に向かうAさん。
「おやすみなさい。それと、こんな事Aさん以外には言いませんから」
Aさんはピタッと動きを止めると、振り返ってえへへ、と小さく笑った。おやすみなさい、そう言いながら扉を閉める。
「おやすみなさい」
胸の底に残るような充足感。
幸せとは、こういう事を言うのだろう。
"私達の"幸せを手の中にするためにも、これは絶対に成功させる。
_そして
ふふっ、今日はよく眠れそうです。
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ちょこのおもち。(プロフ) - あいすくりぃむとちょこれぃとさん» コメントありがとうございます!!🙇♀️凄く分かります!✨やっぱりヤンデレっていいですよね!確かになかなか見ませんよね💭そう言って頂けると凄くモチベーションに繋がります!ありがとうございます! (8月18日 6時) (レス) id: 16a0a29691 (このIDを非表示/違反報告)
あいすくりぃむとちょこれぃと(プロフ) - B様からほんのり香るヤンデレ臭からしか得られない栄養ってありますよね(真顔)B様の小説はあんまり見かけないので嬉しいです!無理しない程度にがんばってくださいね (8月18日 2時) (レス) id: b2ed5b6349 (このIDを非表示/違反報告)
桜都葉(プロフ) - ちょこのおもち。さん» 最近来れてなくて本当にすいません!熱出したり旅行行ったり(は?)ごめんなさい、ホント!!この鬼の子めっちゃカッコいいですね!性格イケメン…っ!夢主ちゃんも謙虚で優しくていい子だよなぁ〜。ファイト!ちょこさんも更新頑張れ〜!! (8月15日 11時) (レス) @page32 id: 16abf5aa00 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこのおもち。(プロフ) - 桜都葉さん» コメントありがとうございます!悪魔らしく‥!確かにそうですね〜!!4人っていうのは私も怪しいと思ってましたwどちらかというと二人と二体ですよね!まあ、ブラックも夢主ちゃんもただの悪魔よりもっと親密な関係として見ている (8月2日 0時) (レス) id: 502985db7d (このIDを非表示/違反報告)
桜都葉(プロフ) - ちょこのおもち。さん» お!魔界だ!!夢主ちゃんも堕天したからか、かなり悪魔らしくなってきましたね!なんだろう、積極的になってきたというか…。こんな夢主ちゃんもいいですね〜!神Oし…!!なんて素敵なネーミングなんでしょう!4人(人…?)とも頑張れ〜!! (8月2日 0時) (レス) @page28 id: 16abf5aa00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこのおもち。 | 作成日時:2023年4月23日 1時