16,救い ページ18
真っ白な光に包まれる。異常な程の眩しさにくらくらする。
「B…様?」
徐々に目が慣れてくると、泣き出しそうな顔をした彼が私の顔を覗き込んでいた。
ぼんやりとした頭と視界のまま、B様から目が離せないでいた。視線がじっと絡み合う。
ほんの一瞬のはずなのに、時計の針が止まったように感じる。
「良かった…。本当にもう、助からないのではないかと…。」
ふっと、張り詰めていた緊張の糸が切れたようにB様が呟いた。
大粒の涙が目からこぼれ落ち、私の頬へと落ちる。
私はその涙を人差し指でそっと拭った。
「泣かないでくださいよ…。私、B様のおかげでちゃんと生きてますから」
存在を確かめるように、私の足と背中に回されているB様の腕に触れる。
「…そうですね。それにしても、あんな無茶なことをするなんて…。自己犠牲もいい加減にしてくださいよ」
溜息をついたB様に対し、私は苦笑いを漏らした。
「あ〜、すみません。…あと、説教は一旦おろしてもらってからでいいですか。みんな注目しちゃってて恥ずかしいので…。」
さっきから人の視線が痛い。
当たり前だろう。B様は私を空中でお姫様抱っこしていたのだから。
すみません、彼はそう言いながら私を地面へとおろした。
途端に、B様の周りには多くの人が集まった。
「凄い!」「ありがとうございます!」「かっこいい!」
天使達が口々にそう言う。
B様は顔を拭うと、怯えている子供に近づいた。
「もう怖がらなくていいんですよ。」
そう言いながら、いつか私にやってくれたように手品で鳩を出した。
それにしても、B様は本当に凄い。
一瞬で魔物を倒した上に、一瞬で皆を笑顔にしてしまうなんて。
「じゃ、わたしは仕事に戻ります。Aさん行きましょう!」
「は、はい!」
…それにしても、さっきは死にかけたなんて実感がわかない。空を飛んでいるせいかもしれないが、何だかふわふわしたような感じだ。
「さっきの話の続きですが、Aさんはもっと自分の身体を大切にしてください。」
「そうですね、分かりました。それと、助けてくださりありがとうございます。」
「いえいえ。助かって何よりです。それで…」
B様は辺りを見回すと、私に近づいてそっと耳打ちした。
「今日の夜12時頃、シャノワールさんを連れてあの子と初めてあった場所に来て下さいませんか?」
「分かりました」
何をするつもりなんだろう?でも、とても重要な事な気がする。
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ちょこのおもち。(プロフ) - あいすくりぃむとちょこれぃとさん» コメントありがとうございます!!🙇♀️凄く分かります!✨やっぱりヤンデレっていいですよね!確かになかなか見ませんよね💭そう言って頂けると凄くモチベーションに繋がります!ありがとうございます! (8月18日 6時) (レス) id: 16a0a29691 (このIDを非表示/違反報告)
あいすくりぃむとちょこれぃと(プロフ) - B様からほんのり香るヤンデレ臭からしか得られない栄養ってありますよね(真顔)B様の小説はあんまり見かけないので嬉しいです!無理しない程度にがんばってくださいね (8月18日 2時) (レス) id: b2ed5b6349 (このIDを非表示/違反報告)
桜都葉(プロフ) - ちょこのおもち。さん» 最近来れてなくて本当にすいません!熱出したり旅行行ったり(は?)ごめんなさい、ホント!!この鬼の子めっちゃカッコいいですね!性格イケメン…っ!夢主ちゃんも謙虚で優しくていい子だよなぁ〜。ファイト!ちょこさんも更新頑張れ〜!! (8月15日 11時) (レス) @page32 id: 16abf5aa00 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこのおもち。(プロフ) - 桜都葉さん» コメントありがとうございます!悪魔らしく‥!確かにそうですね〜!!4人っていうのは私も怪しいと思ってましたwどちらかというと二人と二体ですよね!まあ、ブラックも夢主ちゃんもただの悪魔よりもっと親密な関係として見ている (8月2日 0時) (レス) id: 502985db7d (このIDを非表示/違反報告)
桜都葉(プロフ) - ちょこのおもち。さん» お!魔界だ!!夢主ちゃんも堕天したからか、かなり悪魔らしくなってきましたね!なんだろう、積極的になってきたというか…。こんな夢主ちゃんもいいですね〜!神Oし…!!なんて素敵なネーミングなんでしょう!4人(人…?)とも頑張れ〜!! (8月2日 0時) (レス) @page28 id: 16abf5aa00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょこのおもち。 | 作成日時:2023年4月23日 1時