不快感 ページ32
左馬刻side
夜中、口の中の違和感に、目を覚ます。
この感覚……これは、吐くな。
そう直感で感じ、急いでトイレに向かった。
急いで起き上がったせいで
Aが起きたのを感じたが
声をかける余裕もなかった。
トイレに着いたと同時に
俺の意思とは関係なく
口の中から溢れ出てくる。
左馬刻「っはぁ……はぁ……っ……はぁ…」
まだだ。まだ出てきそうだ。
けど、上手く出せねぇ。
そんなことを思っていると、
Aが近づいてくるのが分かった。
左馬刻「っ……来ん……な…っ……」
俺の言葉を無視して
後ろから抱きしめられた、と思った瞬間
Aが指を喉の奥へ入れてくる。
やばいっ！
そう思ったが遅かった。
Aの手が俺のせいで汚れてしまっている。
左馬刻「…っはぁ……はぁ……」
謝りたいのに、上手く話せない。
A『まだ辛い？
一度、全部出しちゃおう。
その方が楽だと思う。』
もうだいぶ落ち着いた。
乱れた呼吸も、戻っていく。
A『大丈夫そうだね。
手、洗ってくるから、先に戻ってて。
お水、ちゃんと飲んでね。』
左馬刻「……悪い…。
…………一緒にいさせてくれ。」
A『……いいけど、
また気持ち悪くならない？』
左馬刻「大丈夫。
お前こそ、気持ち悪ぃだろ。」
A『嫌だったらしないよ。
大丈夫だから、気にしないで。』
なんだってこいつは、
こんなに男前なんだ。
見た目や所作こそ女らしいが
女々しさが微塵もない。
しかも、こんな事まで
平気な顔をしてやれてしまう。
こいつには、構わねぇな。
俺は……こいつといて、本当にいいのか？
こんな完璧なやつを、
俺なんかが奪っていいのか？
俺は…………
A『左馬刻、左馬刻。
聞いて、左馬刻。
私ね、こんなことするのも、他のことも全部
相手が左馬刻だからやるんだよ。
左馬刻の事だから、
なんでも出来ちゃうだけだよ。
もしも、私のことを、
なんでも出来る奴、凄いやつ、って
思ってるなら、それは間違ってる。
左馬刻の為じゃなきゃ
何も出来ない、ただの腑抜けだよ。』
左馬刻「……んなこたねぇだろ。
他のやつのことも、よく見て
声掛けてんじゃねぇか。」
A『声かけるくらいはね。
でも、面倒見たりはしないよ。』
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作者名：ゆず | 作成日時：2019年7月17日 2時
