弱った左馬刻様の安定剤 (ページ26)

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お風呂ページ26

左馬刻side

Aと一緒に入る風呂は心地がいい。

ゆっくり体が温められ、

Aの素肌や体温を感じ、

Aの言葉で心が満たされていく。

この時間は、どこか夢心地で

嫌な気持ちが全部溶けていくようだった。

この時間だけが

ずっと続いて欲しいくらいだ。

以前、一人でシャワーを浴びながら

深く考え込んでいて、

気づけば上手く息が吸えなくなっていた。

……過呼吸だった。

それ以来、Aは毎回

一緒に風呂に入るようになった。

過呼吸なんてのはあの一回きりで、

きっとたまたまだろうと言ったが、

それでもAは一緒にいてくれる。

正直、こんな状態の時に

一人きりで風呂へ入れば、

また同じことが起きそうで不安はある。

自分はそんなヤワじゃねぇと

言い聞かせてはいるが

一緒に入ってくれるAに

実はかなり感謝している。

Aはいつでも、

俺のして欲しいことをしてくれて、

欲しい言葉を沢山くれる。

Aには、どんなわがままも

恥ずかしくないくらい、

なんでもさらけ出してしまう。

だから、気が楽だし、

あの独特な空気感が好きだ。

A『大丈夫？あんまり長風呂すると、

熱がまた上がっちゃうからそろそろ出よう？』

左馬刻「ん……。」

少し名残惜しい気もしたが、

風呂から上がり、お互いの髪を乾かす。

A『銃兎さんと理鶯さんは、

左馬刻くらい強いの？』

左馬刻「……まぁ、

弱いやつを仲間にはしねぇよ。」

A『そうだね。

よかったね。いい人達と出会えて。

大切にしてあげてね。』

左馬刻「分かってる。

………………好きになんじゃねぇぞ。」

A『もう………左馬刻にしか

興味ないって言ってるのに。』

左馬刻「…………それでもだ。」

A『…ふふっ。

左馬刻。好きだよ。大好き。』

左馬刻「あぁ、俺もだ。」

A『嬉しい。』

リビングへ戻ると、

テーブルの上には豪華な、それでも

食べやすそうなものが沢山並んでいた。

左馬刻「これ全部、理鶯が作ったのか？」

理鶯「む。戻ったか。

そうだ、そろそろ出来上がるぞ。

今の左馬刻でも食べられるものを

多めにしてあるから、一緒に食べよう。

病人だからと言って

別々のものを食べるのは寂しいからな。」

霧島「凄いよな、美味そうな上に

気まで使ってて。」