21 : 傷痕 ページ22
.
_____いくら自分は死体の臭いに慣れてるからといって、身体に纒わりついた腐敗臭そのままに街を歩くわけにはいかない。
深夜1時頃。私はUDIラボでシャワーを浴びながら今日の出来事を思い返していた。
例のよく熟した遺体の解剖に思いのほか時間がかかり、解剖を終える頃には定時を迎えていた。
決して、あの天才解剖医中堂系が手こずって時間が押したのではなく…初仕事だった私が記録に手こずり時間がかかった訳ではあるが。
いや、初仕事だったから仕方ないところもあるでしょう。
しかもあの人、私に全く気使わず解剖進めるので記録が追いつかずで機嫌を損ねてしまい、
「クソが」
と呟けば坂本さんが異常に震えあがり、それをみかねたミコトが
「中堂さんクソ禁止!あとAにもっと気を使ってください」
と声を上げてくれたがますます彼の機嫌は悪くなり…なんだこれカオスだな、というの解剖室での出来事。
これでも元医者として頑張ったつもりなんだけど…。中堂さんこそ、ちょっとくらい気を使ってくれたっていいのに!
なんて言い訳しつつも、未熟な自分が迷惑をかけた自覚はある。そこで少しでも知識を付けようとUDIの資料室で過去の症例やら法医学の書物を漁って勉強していたのだった。気がつけば日付が変わる頃で、帰る前に臭いを取ろうと現在進行形でシャワーを浴びている…という訳である。
ふと、回想から意識が戻る。
鏡に映った自分の身体は赤黒く、乱雑な縫合の跡が目立ち、醜い。
これからうまくやっていけるだろうか…。
思わず目を閉じたのは、これ以上自分の身体を見たくなくなかったからか、それとも今後の不安から目を背けるためか、…はたまたその両方か。
.
181人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みーこ(プロフ) - アンナチュラル再熱して、読みにきました。木林さんとのやりとりに感銘を受けました、もし続きがあるのならば更新をお待ちしております、、! (2022年6月1日 19時) (レス) @page24 id: 71713ba9a2 (このIDを非表示/違反報告)
EL(プロフ) - なんだか急かしてしまってごめんなさい。素敵なお話なのでつい。のんびりお待ちしております。 (2020年10月26日 23時) (レス) id: 7933e3d246 (このIDを非表示/違反報告)
雪鳩(プロフ) - ELさん» コメントありがとうございます!私生活が忙しく執筆が遅れていますが、ゆっくり更新していくつもりなので気長にお待ちいただけると嬉しいです! (2020年10月25日 2時) (レス) id: 76789842a1 (このIDを非表示/違反報告)
EL(プロフ) - 更新楽しみにしております。 (2020年10月18日 21時) (レス) id: 7933e3d246 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雪鳩 | 作成日時:2020年8月24日 0時