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病院実習2 ページ34

「ここは製剤室。院内で取り扱っていない薬を調製する部門です。」
「ここは外来ケモ。病院に通っている人の抗がん剤治療をする場所です。」
「ここは…」
「ここは……」

…。
頭がいっぱいいっぱいになっている最中、薬剤師がメインで活動する場所にたどり着いた。
…調剤室だ。

「調剤室は"院内薬局"とも呼ばれますね。」
「「「「わあ…。」」」」

調剤室を見せてもらい、各々感嘆の声が漏れる。
たくさんの白衣の人々。
手にはカゴと、調剤メモ…そして、次々と引き出しから出される薬剤の数々。

「ではこちらへ、オリエンテーションを始めます。」
「「「「はい。」」」」

一瞬の調剤室を後に、オリエンテーションの場へ向かった。




***

「…で、ココが君たちの控室です。実習記録はこのPCから行うように。さて…」

話の終了間際、実習生の間に緊張が走る。
薬剤部長は何を話すのか…。

「血をさらさらにする抗凝固剤のヘパリン。………解毒剤は?」
「「「「……。」」」」

えっ?と空気が凍る。まさかこの流れで質問が飛んでくるとは誰しも思っていなかったからだ。
しかもヘパリンの解毒剤!?ヘパリン自体はとても大切な項目なので知らない薬学生はいないけど…まっ…マイナーなとこ来たなあ。
えっと、なんだっけな、ぷろ…ぷろちれ、じゃなくてぷろ…

「北峰君。」
「……。」

「井勝さん。」
「…えっと、…」

「西大路さん。」
「……。」


ちょっと!!誰か食い止めて…!!!!
なんて情けないこと言ってる場合じゃな…っ


「はあ。看護学生なら普通に答えるよ。…Aさん。」
「………プロタミンです…。」


どこの防音室よりも静かなこの部屋に、驚くほど細い私の声が響いた。


「………はい。」


"はい"は正解だったということだろうか。
その声に完全に実習生は沈黙した。
ああ、これが現場で働いている人の重圧感だろうか。


「投与して終わりじゃない。いいですか、皆さん。我々薬剤師は、その気になれば人を殺せる、その気がなくても人を殺してしまう恐れがあるものを扱うから国家資格を持ち合わせているんです。薬がどんな風に、どんな人を、どんな形で、誰が関与して使われているのかを…患者さんがどんな思いで薬を使っているのかを、ここで学んでいってください。」

「「「「…はい。」」」」

「オリエンテーションは以上です。実りのある実習にするため、各自努力するように。」

…実習初日から、実習生の体力は削られたのだった。

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ちよ(プロフ) - イラさん» イラちゃん…!ありがとう…!ほっこりしてくれたならよかった…!でもこっからは原作ネタの六つ子話とかも入れていく予定だからねww応援本当にありがとう! (2016年10月22日 21時) (レス) id: 7980a9d63a (このIDを非表示/違反報告)
イラ(プロフ) - お久しぶりに来たけど相変わらずほっこリする小説だよ〜!!人の温かみや辛さがひしひし伝わってきたよ!!ゆっくりで良いから頑張ってね! (2016年10月22日 16時) (レス) id: 1dff651d8b (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - わあ”!さきさん!!どんぴしゃですね!!笑 現役薬学生さんにコメをいただけるとは…!本当にありがとうございます!共感ほんとありがたいです〜><//(実習はもう終わられたのでしょうか(/ω\)) さきさんの大学生活も心の底から応援しております…! (2016年10月17日 23時) (レス) id: a6e972599e (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - (実際プロタミン聞かれたときに心臓が体外に吹っ飛ぶかと思ったよね…) (2016年10月17日 23時) (レス) id: a6e972599e (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 私某私立女子大の薬学生なのですごく共感できます!これからも頑張ってください! (2016年10月17日 22時) (レス) id: 1e3e119e4d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちよ | 作成日時:2016年9月19日 20時

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