Euphoria【Raul】 (ページ43)

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Grateful days 43 ページ43

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「深澤先生、おつかれさまです」

資料を見ながら歩いてきた彼はちらりと冷たい視線を寄越した。通りすがり、肘にほんの少し、体温が触れる。そのまま腰をさするフリをしながら、辰哉は何も言わず通りすぎた。

今日は遅くなる、とラウールに連絡を入れなければ。

「弟くんと祭行ってたでしょ」

「うん、行ったよ」

会話はそのくらいでホテルになだれ込んだ。別に溜まっていたわけでも、ストレスを発散したいわけでもない。なんとなく、２人ともそんな気分だっただけ。

事後の気だるさを引きずりながら、ベッドの上でぼうっとしていた。

辰哉は、床から拾い上げたボクサーパンツに足を通した。

別に彼の家庭を壊したいわけじゃない。別れてほしいと思ったこともない。

子供ができたらどうしよう、と一瞬考えたこともあったけど、勤務先を変えてひとりで育てればいいと思った。その前に婦人科でアフターピルを処方してもらったけど。

チノパンを引き上げ、ベルトを引き締めている。

その腿に手をかけ、引き寄せた。

「うわっとぉ・・・なに？どした？」

ベッドに腰掛けたまま、立っている辰哉の腰に緩く手を回し、抱きつく。くすくすと笑う振動が、ぺたりと裸のお腹にくっついた頰に伝わってくる。

優しくて、おもしろくて、会うとドキドキした。みんなも深澤先生を好きだったけど、手を触れてしまったのは、わたし。

わしゃわしゃと髪を撫でられる。

「かぁいーね、A。好きだよ」

そう。わたしも。