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PEACE!! 29 ページ29

どうしよう・・・手を握りしめたい。抱きしめたい。

それが涙への母性本能なのか、佐久間さんのことを好きだからなのかわからないけど、とにかく焦燥感で胸が騒ぐ。

とりあえず、念のためと思って持ってきた予備のハンカチを渡そうとバッグを開いた。

そのとき。

バッと勢いよく立ち上がった佐久間さん。そのままくるりと私に背を向け、走り去ってしまった。

「え・・・」

パキッと、心の中で何かが折れた。

人波に紛れてその背中はもう見えない。

みるみる視界がぼやけていく。

これは何?

なんの罰なんだろう?

もう何も考えたくない・・・

ようやく立ち上がり、のろのろと人の少なくなった映画館を出た。

壁際で、背の高い2人組の頭が飛び出ている。

その姿を避けるように、違う出口へ向かった。

もう帰ろう。目黒くんと阿部さんには悪いけど、もう、無理。

駅に向かって歩く。足が重い。この場に座り込んで泣きたい。

でもそんなことはできないから、鉛のような体を引きずって歩く。

バッグの中でスマホが震えた。バイブが止まらない。電話みたいだ。

人の邪魔にならないように端に寄って取り出すと、何度も切れては掛かってきていた。全部、目黒くん。

すぐにまた着信がつく。応答ボタンを押してスマホを耳に押し当てた。

『喜多川!よかった、今どこにいる?』

息が荒い。走ってるのかな。

「ごめんね、目黒くんと阿部さんには悪いけど、私もう無理だ・・・帰るね」

『待って!ごめん、騙して悪かった!けど・・・』

「心配してくれたんだよね、ありがとう。でも、もう疲れちゃった」

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ちるこんぶ(プロフ) - おはよう。ちょ、早く言ってくれよ。ダッシュで読みにきたじゃん。好きなキャラしかいないじゃん。目黒いいやつじゃん。続き全力待機してます (2022年6月30日 6時) (レス) id: a98e530ee3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆき乃 | 作成日時:2022年6月26日 17時

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