しあわせのおと【Daisuke.S】 (ページ30)

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PEACE!! ３０ページ30

息を飲んで、目黒くんが少し黙る。

『あのさ、どうしても今日渡したい物があるんだ。それだけ渡したいから、少しだけ待っててくれないか』

駅は目の前だ。でもこんなに必死に走ってくれている人の言葉を無視するわけにもいかない。

『今どこ？』

「駅前。木がたくさん植ってる、広場になってるとこ」

『わかった。そっち向かうから、ちょっとだけ待ってて。あ、変なヤツに絡まれないように隅の方にいろよ』

「うん。なんか、ごめんね」

電話を切って、言われたとおり広場の端に寄った。木の周りをぐるりと囲む形でベンチが設置してあるから、人から隠れるように腰を下ろす。

「はーーーー」

泣きたい。

ぐったりと体を臥せて目黒くんを待った。

近づいてくる足音は焦ってる。

目の前で止まった。こんな不細工な泣き顔を見せたくはないけど、仕方ない。

ゆっくりと顔を上げた。

「な、んで・・・」

佐久間さん・・・

肩で息をして、白い頬が真っ赤に蒸気してる。

「ごめん！！！」

佐久間さんは、膝に顔がくっつくんじゃないかっていうくらい深く頭を下げた。

「あべちゃんに全部聞いた！オレ・・・オレが、ずっとAちゃんを傷つけてたって・・・オレなんにも知らなくて・・・ほんとに、ほんとにごめん！！」

聞いたって、何を？どこまで聞いたの？