聞いてない！！【潔世一】

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....まさか、席まで隣になるとは。
もうスクリーンの中に入ってしまっているし、ぎゃあぎゃあ騒いでは他のお客さんの迷惑になるから怒り(？)で震えている凛さんの背中を押し席へと向かう。

友達なんだし隣同士に座りなよと世っちゃんを真ん中に座らせ、映画が始まった。

結構怖い映画で、世っちゃんは凛さんに騒いだら殺す と上映前に釘を刺されていたことも忘れたかのように私の腕を掴んで何か起こる度にうわっ！とか声を出していて凛さんにめちゃくちゃ睨まれていた。

******

エンドロールが流れ、スクリーン内がパッと明るくなる。
すると周りの人が怖かったね〜なんて言いながらゾロゾロとスクリーンを後にしていった。

それに続くため私たちも身支度を済ませる。


『めっっちゃ面白かったね！』


久しぶりに映画館で映画を見たのもあって、すごく楽しかった。
2人の方をみてそう言うと


凛｢良作だった｣


上映前のあのイライラした顔が嘘かのようにホクホクした顔の凛さんが立ち上がった。
心なしか目がキラキラしているように見える。


『あの振り返ったら怨霊が立ってるとこ特にゾワッとしなかった！？』

凛｢あぁ、確かにそこもよかったけど俺は＿＿＿＿｣


つい楽しくなって映画の感想に花を咲かせていると、私たちの間に座っていた世っちゃんが急に私の手を掴んできた。


『びっくりした...世っちゃんどしたの？』


潔｢...え！あー....えっと...ちょっとまだ怖くてさ....駄目だった...？｣


頬をポリポリとかきながら上目遣いで恥ずかしそうにそう言う世っちゃんにグッときていくらでも繋いでていいよ！と世っちゃんの頭を片手でワシワシと撫でながら返事をする。

それを見た凛さんは


凛｢ハッ、おめでたい頭してんな｣


と言い残しスクリーンを後にした。





『じゃあ私たちも行こっか』

潔｢おう｣


ドリンクとポップコーンが入ったホルダーを片手に、世っちゃんの手をもう片方の手に収め、私たちもスクリーンを後にした。


出口で待っていた店員さんにホルダーを渡して歩を進める。いくらでも繋いでていいよと勢いで言ったものの、明るいところに出たからもう怖いの大丈夫かな？と思い


『世っちゃんもう手放しても大丈夫？』

と聞くと

潔｢え.....やだ｣

と言い掴む手に力を入れた世っちゃんにノックアウトした。
今日の世っちゃんは一体どうしたんだ...？心臓に悪い。

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