このサビは izw ページ49
「A、6の10乗は？」
『60,466,176です』
「サンキュー」
社長の伊沢さんは私のことをこき使う。
『電卓を使えばいいのに』
「だってAに聞いた方が早いじゃん？」
なんてドヤ顔で言ってくる。頼りにされているのは嬉しいけれど、それにしたって6の10乗とか、絶対に意味なく聞いてきたでしょう。
私だって、ちゃんと毎日こまめに動画をチェックしているんだから。
「あ、明日の予定、午前と午後逆になった」
『そうですか。それでは今から必要なものを買ってきた方がよさそうですね』
「よろしく頼んだ」
『はい』
さっきと全く同じトーンで、今度は大事な要件を伝えてくる。
私は真面目モードに切り替えてスマホを開いた。まぁ、元々真面目モードだけれど。
2か月前、捨てられて途方に暮れていた私を拾ってくれたのが伊沢さんだった。
何不自由なく今を過ごせているのも全て伊沢さんのお陰。
私は彼に恩返しをすべく秘書という形で雇ってもらい、仕事を手伝っている。
「A、LINE俺の代わりに返しといて」
『…なんと返せばいいんですか』
「んー、テキトーでいいよ」
『……』
彼には頭が上がらないが、こればっかりは解せない。
私にメッセージが来ているのではないのだから、ゴーストライターのように私を扱わないでくれ、と思うのだが。
「だってA、優秀でしょ？」
『分かりましたよ。その代わり、何か言われても私のせいにしないでくださいよ』
「大丈夫大丈夫！」
はぁ。忙しいにも程があるだろう。いや、こんなことのために時間を割きたくない、というのが本音だろう。
諦めのため息をついて、彼がテーブルに置いたスマホを手に取る。
全く、仮にも他人なんだから、プライバシーの保護ぐらい徹底してもらいたいものだ。
「いつもありがとう、A」
そう言って愛しい人を見るような優しい目で頭を撫でるんだから、やめてほしい。
＿＿＿
『いえ。私は伊沢さんの“秘書”ですから。当然のことをしたまでです』
私は今日もまた、この気持ちに嘘をつく。
to be continued...?
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ちゃるちゃる(プロフ) - いろさん» ありがとうございます〜！これからも温かい目で見ていただけると嬉しいです！ (2020年2月22日 16時) (
レス) id: d523c3bebb (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - 続編おめでとうございます！楽しみにしてますっ (2020年2月21日 6時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃるちゃる | 作者ホームページ：
作成日時：2020年2月20日 17時
