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『え、いや、、え?』
何をそんなに驚いているのだろうという目で見られる私。いやちょっと待て。頭が追いつかないので整理をさせてください。
その1。まず、私今心の中だけで言ったつもりだったのだけど、声に出てたの?そこからです。まぁ心の声が漏れていたということにしよう。
その2ですよ。今、我が社長はなんとおっしゃいました?“彼氏になろうか?”聞き間違えじゃなければそう言っていたはずですよね。ええ。
『な、なぜ!?いくら社員の心配をしてくれているとはいえ、あまりにもそれは親切すぎませんか!?もっと自分を大切にしましょうよ!』
「いやー実はさ、俺もちょうど彼女欲しくて困ってたんだよね」
『なぜ!?』
それで俺も頭抱えてたわけよ。と言う伊沢さん。話が噛み合っていないよ!そうですか、じゃあ…とはならないでしょう!
「招待されているパーティーが異性をパートナーに連れて出席しないといけなくて。なかなか相手が決まらなくて。もうそろそろ名前を書いて送らないとでさ」
『なるほど…?』
「いいじゃん。カモフラージュに立候補してあげるって言ってんの。その代わり、俺と一緒にパーティーに出てもらうけど」
『で、でも、ただの一社員で宜しいのですか?』
そう、そこが問題なのだ。私としては社長だなんてもったいないぐらいで。逆に此方が釣り合っていないように思われてしまうのではないかという不安にかられる。
「それは大丈夫っしょ。だってA酒豪じゃん。パーティーなんて余裕でしょ」
『た、確かにお酒は好きですが』
「秘書検持ってるでしょ?」
『1級落ちて辞めたので準1までですが…』
「うん、文句なし。採用!」
『ええ…』
そんな即戦力になりますかね。こんな即戦力どこで!?って驚くCMみたいに人差し指立ててキメ顔しなくていいですよ…
「じゃあ良いの?俺という候補を潰したらいよいよお見合いまっしぐらだぜ?」
『う、それは…』
なんだか頭が痛いなあ、何でだろう…
「パーティーで俺の隣にいればあとは好き放題酒飲めるんだぜ?」
『う…!』
なんだかアルコールを摂取したくなってきたなあ、何でだろう…
「俺ほどのペテン師味方につけときゃお母さんだけじゃなくて友達も皆騙せるぜ?」
『パーティー、行かせていただきます』
「じゃあそういうことで。よろしくな、A」
『よ、宜しくお願いします…拓司、さん』
こうしてただのしがない社員とその社長との奇妙な関係が始まった。
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ちゃるちゃる(プロフ) - いろさん» ありがとうございます〜!これからも温かい目で見ていただけると嬉しいです! (2020年2月22日 16時) (レス) id: d523c3bebb (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - 続編おめでとうございます!楽しみにしてますっ (2020年2月21日 6時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃるちゃる | 作者ホームページ:
作成日時:2020年2月20日 17時