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麺のすする音、ビールを注ぐ音、様々な音が入り交じる中俺たちは他愛もない話をしながら食べていた。

そしてふとテレビから流れたニュースに目が止まった。今日取り上げられていたのは最近よく聞く逸見社長だった。日本だけでなく世界にまで事業を拡大すると発表したらしい。逸見社長がにっこりと微笑みながらインタビューに答えている映像が流れている。


「逸見ねぇ……」
「うん?」
「いや、波に乗ってるよなって思って」
「あぁ……」


俺の右隣に座っていた百合根さんによって独り言を拾われた。だが拾ってきた割にはそこから話が広がるわけでもなくまた黙々と麺をすすり始めた。


「なに?伊沢も憧れてんの?」


今度はゆっくり食べていた福良さんが話に入ってきた。気を使って話を広げなくてもいいんだけどね。俺らの誰よりも減っていない器を見て思わず笑ってしまった。


「憧れてるとかそういうんじゃないけど、まぁ凄いよなーとは思う」
「そうだね」


どうせ百合根さんは気まぐれだからもうこの話に興味が無いのだろうと思った俺は福良さんの方を向いて会話をした。だが俺の何気ない一言を聞いていた百合根さんが突然割って入ってきた。


「はあ?あれのどこが凄いの?」
「だって今じゃ知らない人はそういないぐらいの富豪じゃん」
「じゃあ富豪だったら誰でもいいわけ?」
「別にそんなんじゃないけどさ…」


そんなに深く掘られると思ってなくて俺も福良さんも萎縮する。声のトーンはいつもと変わらないはずなのになんかトゲがあってちょっと怖かった。だが逸見社長にというよりかは“財閥”という金持ちに対してよく思っていないかのように俺は感じ取っていた。


「逸見なんて三井財閥かぶれじゃん。偽三井じゃん」
「いやそれはただ単に【イツミ】を逆から読んだら【ミツイ】になるから言ってるだけでしょ」


福良さんが笑いながらツッコミを入れたがそれに対して別に何か返すこともなく麺を啜っていた。福良さんも特に気にした様子もなく食べ進めていた。そして河村さんもさっきからずっと一線を引いたところにいるため黙ったままスープを飲み干していた。

……なんだろう。

俺だけが少し変な違和感を抱いた。でもこの違和感は、次にいつ彼女が狙われてもおかしくないというこの状況に対して抱いただけだ、と思うことにして最後の一口を放り込んだ。


最終章へ続く...


(おまけ)

「おーい誰だ替え玉頼んだやつ〜」
「え、俺」
「福良青年……食べるの遅いのにまだ食べるの……?日が暮れちゃうよ……??」
「最初から日は暮れてるよ」

最終章 簪を門に刺せ→←・



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通りすがり - 何度もコメントすみません。やっぱりこの小説好きです!いくらでも待つので、続きを期待してもいいですか? (3月15日 16時) (レス) @page34 id: c971cc1ca3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 作品の世界観が素敵で一話目からノンストップで読み続けてしまいました。続きがとても気になります。また、更新されることを願っております。 (2022年9月17日 23時) (レス) @page34 id: 766ff61372 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - トマトさん» ありがとうございます、、、!かなり更新ペースが遅いのですが、佳境に入ってまいりましたのでぜひ温かく読んでくださると嬉しいです!ありがとうございます!! (2022年6月20日 12時) (レス) id: 05ff2dafb9 (このIDを非表示/違反報告)
トマト(プロフ) - コメント失礼します!作品の雰囲気がめちゃくちゃに好きでずっと読んでいられました!もっと早くに出会いたかったです……一読者として応援しています (2022年6月14日 19時) (レス) @page33 id: 44a1cdd5e5 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - 通りすがりさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!返信遅くなってしまってすみません!相変わらずマイペースすぎる更新ですが何卒よろしくお願いしますー!!! (2022年3月1日 1時) (レス) @page28 id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちゃるちゃる | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年11月18日 15時

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