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「これです！」
別人とはいえ私の好みドストライクな彼に気を遣わせてしまったことに胸が痛くなってしまって、全てを打ち明けることを決意した。
鞄から肌身離さず持ち続け、どんなに仲のいい友人にすらも見せたことがなかったノートを、名前も知らない彼に渡した。
はてなマークが浮かびながらも受け取ってくれた彼を見ても、ああ私の好きな白くて細くて綺麗な手……と見惚れてしまったのは恐らく投げやりになっているからかも。
都内のリーズナブルなファミレスは休日ということもあってか賑わっていて、様々な音で溢れている。
けれども、目の前の彼が無言で私のノートをパラパラと捲る音がしっかりと聞こえてきてしまってしんどい。
美大の入試の時よりも緊張で吐きそう。
「…なるほど」
彼はたった一言だけ呟いた。元々口数も多くはない方なのだろう。
私は一向に彼の方を見れなかった。だって気持ち悪がられたはずだし、なんなら軽蔑されるに違いない。もう一刻も早くこの場から立ち去りたい。何も頼んでないから今ここで逃げても食い逃げにはならないよね。
「これは確かに、僕ですね」
「…すみません」
「なんで謝るんですか」
「え、だって…！」
思わず顔を上げてしまって目が合った。さっきの怖い顔とは違って、柔らかく微笑んでいた。
もしかしてこの人って笑顔で怒るようなタイプなの……？一気に冷や汗をかいた私だったが、その不安はすぐに消えることとなった。
「僕、こういう所で働いてまして」
「え……い、伊沢さん…！」
私のノートをテーブルの上に置いて、スマホを見せてくれた。そこには私もテレビで見たことのある伊沢さん。その隣に彼は立っていた。
YouTuberとしてかなり人気らしく、僕のことを知っているのかと聞いてきた経緯に納得がいった。
「最初は僕のファンの人なのかと思ったけど、そうじゃなかったみたいだね」
「…なんか、すいません」
「いやいいんだよ別に。僕はこの中でもそんなに目立ってない方だし」
え、これで目立ってないんですか？こんなにも顔が整っていて？と荒ぶりたくなったが頑張って抑えることに成功した。
そうだったのか。私がYouTubeをほとんど見ないだけで好みどんぴしゃなこの顔を知っている人は多かったのか…そう思うとなんだか人生損していた気がする。でも自分の好みを今まで誰にも話したことがなかったからそりゃ知るわけないよな。
「ちなみに僕の名前は河村拓哉って言います」
「……は？！」
店内中でこんなに大量の視線が刺さったことは初めてだ。
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緋歌梨(プロフ) - ちゃるちゃるさん» いえいえ！ (2020年12月30日 22時) (
レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - 緋歌梨さん» そうなんですね！知らなかったです。教えて下さりありがとうございます！ (2020年12月30日 22時) (レス) id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
緋歌梨(プロフ) - コメント失礼します！みかんの白い筋は､アルベドって言うんですよ！ラテン語で“白さ”という意味です！このコメントはスルーしていただいても構いません｡お節介ですいません… (2020年12月29日 20時) (レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃるちゃる | 作者ホームページ：
作成日時：2020年11月9日 17時
