心からのお祝い-kwmr ページ4
『はぁ…なんなの？』
普段はあまりしない酒の一気飲み。でもそれをしないとやってられないぐらいに今の私は怒りに満ち溢れている。
『人の個人情報そんなに知りたい？知ってどうすんのよ？』
誰に話すわけでもなく──いや一応マスターに聞いてもらっているけど──愚痴をぶつける。
今日、仕方なく行かされた合コンで運悪く男に気に入られてしまい何度躱してもしつこく血液型は？どこ出身？誕生日いつ？と聞かれてうんざりしたのだ。
人数合わせできた私に友達は睨みをきかせてくるしもう散々。
『全て当たり前だと信じて疑わない奴らが本当に嫌い』
元々タイプでなかったがこんな性格だと知ると生理的にも無理だ。ああ思い出すだけでまた嫌な気分になる。もっと飲もうとワインボトルに手を伸ばすと横からそれを奪われた。
『ちょっと何するんですか！返してください！』
「飲みすぎですよ」
いきなり現れた眼鏡の男は私に一切ボトルを渡すことなくマスターに水を頼みやがった。勝手なことをしないでほしい。
「何がそんなに嫌なんですか？」
『え？』
思わず聞き返してしまった。マスターが水を出してくれたと同時に私の隣に座ってくるこの男。彼の方を見ると目が合ってしまい、なんでも見透かしているような瞳に吸い込まれそうになった。
「アルコールが回っていてもなお敬語な貴方はとても硬派で真面目なんでしょう。そんな貴方がお酒に逃げるなんて、余程のことがあったのではないですか？
どうでしょう、名前も知らない私に話してみませんか？」
言葉巧みに誘導してくるがそんな手には乗らない。自分に魅力があるとは到底思えないが変な男に目をつけられてしまう前科があるから絶対に怪しいと感じてしまう。
何も言わずに睨んでいると彼も私の考えていることに気づいたのか突拍子もない行動に出た。
『ちょっ！』
「ぷは……」
私が飲もうとしていたワインボトルをこの男はラッパ飲みした。3分の1ほど入っていたはずなのに全て飲み干した。相当アルコール度数の強いものを頼んでいたから一気に飲み干すなんてとても危険。一体この男は何がしたいのだろうか。
「酒が弱いのに馬鹿な真似をしてしまいました。多分酔いがすぐに回って記憶が飛んでしまうでしょうね」
『……』
なるほど。そこまでして私の話を聞いてやると言うのね。本当に酒が弱いのかどうか、それは定かではないが、騙されたと思って乗ってやろうじゃない。
「マスター、彼にも水を」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 201人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
緋歌梨(プロフ) - ちゃるちゃるさん» いえいえ！ (2020年12月30日 22時) (
レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - 緋歌梨さん» そうなんですね！知らなかったです。教えて下さりありがとうございます！ (2020年12月30日 22時) (レス) id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
緋歌梨(プロフ) - コメント失礼します！みかんの白い筋は､アルベドって言うんですよ！ラテン語で“白さ”という意味です！このコメントはスルーしていただいても構いません｡お節介ですいません… (2020年12月29日 20時) (レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゃるちゃる | 作者ホームページ：
作成日時：2020年11月9日 17時
