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「うわっ！え、なに？！」
驚きすぎて思わず後退りをしてしまった。こういう時には足音も気配も感じなかったのはなぜだ。彼は元忍者なのか。
「ちょうど僕も帰ろうと思ってたから待っててほしかっただけだよ」
そんなに驚くこと？と言われてしまい、これだからあざといんだから…と参ってしまう。
「ほら帰ろー」
開けようと思ってドアに置かれたままの私の手を無視して山本くんが扉を開けた。
「外寒いね」
「夜は特に寒い！」
しっかりと着込んでるはずなのに冷たい風が私たちを襲う。冬の夜ってしんどい。
「うぁー寒い」
「スヌードだから風が入っちゃうんだよ」
「しょうがないじゃん」
「やっぱマフラーにするべきだって」
「首が暖かければなんでもいい」
まだマフラーを根に持つのかこの人は。マフラーもスヌードもなんだって一緒だよ。
「…」
私がうざったく言ってしまったからなのか、山本くんはそれ以降黙ってしまい会話が終了した。
「ね、Aちゃん」
もう少しで分かれ道、という場所で山本くんが私の名前を呼んだ。
「え、なにこれ…」
いつの間にか山本くんの手に握られていた可愛くラッピングされている袋。これは誰がどう見てもプレゼント。
何も言わずに優しく見つめる瞳から、開けていいよと言われた気がして少し悴んだ手でリボンを解いた。
「本当は持ってないんでしょ」
その言葉と同時に中身を取り出した。
触っただけで分かる、気持ちいい素材の暖かそうなマフラー。
だっておかしいと思ったんだよ。やたらとマフラーの話する割には反応悪いし。でも今日は誕生日じゃないし…となったら残す選択肢は1つ。
「それは僕からのクリスマスプレゼント」
そう言って山本くんは照れくさそうに笑った。今日という日がこんなにもクリスマスらしいと思うなんて。
「…いいの？」
「もちろん。最近Aちゃん頑張ってたし」
「でも私、何も用意してないよ」
「いいよ別に」
そうはいかない。仲がいいとはいえ先輩だし、マフラーなんて結構な値段するし。私の眼差しに観念したのか じゃあ、と口を開いた。
「明日からそれ使ってほしいな」
「…ふふ、なにそれ。使うに決まってるじゃん」
「えー。それじゃあ今度奢ってよ」
「…お寿司ね」
「やった！」
子供のようにはしゃぐ山本くんが愛おしい。そんなのでいいならいくらでもするよ。
「ありがとう、山本くん」
来年は私もプレゼントを用意しないとな。袖の中に仕舞われた腕時計は0時を過ぎていた。
12月25日 メリークリスマス
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緋歌梨(プロフ) - ちゃるちゃるさん» いえいえ！ (2020年12月30日 22時) (
レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - 緋歌梨さん» そうなんですね！知らなかったです。教えて下さりありがとうございます！ (2020年12月30日 22時) (レス) id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
緋歌梨(プロフ) - コメント失礼します！みかんの白い筋は､アルベドって言うんですよ！ラテン語で“白さ”という意味です！このコメントはスルーしていただいても構いません｡お節介ですいません… (2020年12月29日 20時) (レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃるちゃる | 作者ホームページ：
作成日時：2020年11月9日 17時
