Short Story × Songs 【QK】

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やば、鍵かけ忘れてた！慌ててギターを置いて立ち上がると、

『え…？』

そこには、息を切らしている私の思い人が。
何で？という疑問しか浮かばず、固まってしまった私。


「えっと…忘れ物しちゃって」

沈黙を破ったのは伊沢さんだった。

『あっ、忘れ物ですか。今探しますね』

いけないいけない。ちゃんと店員にならなくちゃ。明かりを最小限にしていたので、探しやすいように電気をつけようと動くと、

「あ、いや、その…」

『…伊沢さん？』

「えっ」

しまった。つい名前で呼んでしまった。いや、苗字だけど。いやそこじゃない。なぜ知ってるんだ？ってそこだよね。驚いて固まってしまっている伊沢さんに慌てて訂正をする。

『先ほどそう呼ばれていたのを聞いてまして！すみません！』

もう支離滅裂すぎる自分…やってしまった、としょぼんとしていたら明るい笑い声が聞こえてきた。

「普通に嬉しかったです。名前知ってくれていて」

パッと目の前の伊沢さんを見ると、少し暗い店内でも素敵な笑顔なのが良く見えた。
あぁ、やっぱり好きだ…

「実は、忘れ物っていうのは嘘なんです」

そう言ってばつが悪そうに話し始めた。


『と言うと？』

「一目惚れしました。お話がしたくて、来ました」

『え？』

本当はずっと話すタイミングを伺っていたらしい。でも、難しく、そのまま帰ることになり、やっとのことで機会を見計らって来てくれたのだった。
私は驚きで完全フリーズ。だって、そんなこと、ある？

「ギターを弾いている貴方が、とても美しかったんです。お友達からでいいので、お願いできませんか？」

答えは一つに決まっている。
だって、ピッタリと合ったんだもの。たった一つの音でもズレてしまったらそれは違う。

『私も一目惚れをしました。こちらこそ、よろしくお願いします』


ずっと練習してきた新しい曲を、伊沢さんにいつか聴かせよう。
だって、どんな言葉よりも正確だから＿＿＿

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