白百合園に咲く彼岸花 (ページ6)

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「ただいまー」

「お、お邪魔します」

伊野尾の家(俺は"ここ"を伊野尾の家と呼ぶことにした)
は思ったより普通の一軒家だった。
もっと無機質なものを想像していたが
温かみのある、ごくごく普通の家だった。

「あ、伊野ちゃんおかえり！
あれ、そっちの人はお友達？」

伊野尾が帰宅したことを告げると即座に
お出迎えがきた。
とっても小柄で、まるで女の子に間違えてしまいそうなほど
愛くるしい容姿をしたその子。

「いつも出迎ありがとうな、知念。
コイツは同じクラスで友達の薮だよ。
そしてこっちがちねん。さっき話した二つ下の子な。
ちねん、ご挨拶は？」

伊野尾はそのちねんって子の頭をぐりぐりと
撫で回しながらそう促した。

「こんにちは！ちねんゆうりです！」

「俺はやぶこうた。やぶでもなんでも
好きに呼んでね」

「じゃあぼくはこうたって呼ぶね！」

頭をほぼ直角にして俺たちを見上げるちねんの
可愛さったらない。

「おう！よろしくな、ちねん！」

俺はちねんの頭をゆっくりと撫でた。
まんまるで髪の毛もサラサラだ。

「どうだ、かわいいだろ」

「あぁ、すげえかわいいな」

伊野尾は誇らしそうに胸を張った。
なんでお前が威張るんだ、と後頭部でも
引っぱたいてやりたくなったが
あんまりコイツが嬉しそうなのと
ちねんが見てる手前、俺のハリセンチョップは
出番を無くした。