白百合園に咲く彼岸花 (ページ2)

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高校生になった俺に、伊野尾という友達ができた。
待ちに待った高校生活に浮かれきっていた俺は
手始めに、と席が後ろの奴に声をかけた。
それが伊野尾だったわけだ。

伊野尾は綺麗な顔をしていた。
おまけに線が細くて、透けそうなほどのの色白だった。
現代文の担当教師に当てられて教科書を撫でる声は
まるでグランドピアノを爪弾いたようだ。

けれど本当の彼はそんな可憐なもんじゃない。
昼飯時は誰よりも豪快に弁当にガッツくし
いつも適当なことばっかりぬかして俺をからかう。
それに加えて大の下ネタ好きで態度もデカいときた。

「お前、影でお姫様って呼ばれてるの知ってるか?」

と、一度聞いてみたことがある。
そうしたらこいつ、なんて言ったと思う。

「ゲェ〜！！俺がお姫様とか世も末だな、オイ。
まぁ俺がかわいいのもわかるけど男にお姫様はないわ、
ガッハッハ」

だとよ。

まぁ、実際俺も入学当初はこいつの顔に騙されて
視線が絡む度にドギマギしていたし
自分のことは棚に上げて、細いコイツが気がかりで
大好物のミニハンバーグもあげたりしていた。

ふざけんな、返せよ俺の純情とハンバーグ。