63.「あの子だけだって知ってた」 ページ17
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ずっと見てきたから知ってる。
ドンヒョクにとって特別なのはあの子だけだって、本当はずっと前から知ってた。
一年生の時、私とドンヒョクは同じクラスだった。
クラスの中でも目立つ存在で、持ち前の愛嬌で男子にも女子にも先生からも「ドンヒョクはしょうがないな」って笑って許されて、いつもふざけていて授業中はたまに寝てる。
そんなただのクラスメイトだった。
ドンヒョクは誰とでも仲良いけどその反面で人の本音を見抜くような鋭い視線をすることがあって、誰にも自分の内側に入り込ませない、そんな空気を纏っている気がした。
それが少しだけ怖くて、前の席に座ったドンヒョクからプリントを回される瞬間だけで少し緊張していた。
部活が終わった後、忘れ物を取りに教室に戻った時に2人が座って話してるのを見たことがある。
私の席に座ったあの子に、クラスメイトの前ではしない柔らかい顔で話す姿を見て、
あの内側に入れる子がいたんだと驚いた。
その日は結局忘れ物を取りに戻れないまま家に帰って、そのあともずっとドンヒョクの顔が焼き付いて眠れなかった。
ドンヒョクと同じ中学校の友達に聞けば、あの子は幼馴染らしい。
私にも幼馴染がいるけれど、高校に入ってからはまともに連絡を取っていない。だから幼馴染が理由じゃないことは簡単に分かった。
それから恋愛感情ではなく、ただ気になって目で追っているうちに、
いつのまにかソレが恋愛感情に変わってしまった。
勇気を出して告白をした日に「実は俺も可愛いなってずっと思ってた」と言ってくれた言葉を疑いたくはないけど、
そこに恋愛感情はなかったんじゃないかと思う。
二人でどれだけの時間を過ごしても、ドンヒョクがあの子に見せるような表情を私に向けることはなかったし、どれだけドンヒョクのことを知っても、気持ちが分かったと心の底から言える気がしなかった。
二人で過ごす時間が増えるほどに自分とあの子を比べてしまい、どんどん嫌な人間になっていく気がした。
本当は別れたくないと縋り付きたかったけど、ドンヒョクが私のことだけを見ることはないんだろうなと話している横顔で悟った。
最後くらいちゃんと傷つけて突き放してくればいいのに。
中途半端な優しさは辛いだけだ。
せめて、いい彼女だったと記憶に残れるように
自分ができる精一杯の笑顔で今までありがとうと言った。
ドンヒョクは強がりに気づいただろうか。
．
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ロク(プロフ) - ゆさん» 返信出来ておらず申し訳ありません…😭完結したので最後まで読んでいただけてたら嬉しいです🥺 (4月16日 3時) (
レス) id: c303f509b7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ - いつも陰ながら楽しませていただいてます！今回のお話もたくさんキュンキュンしました~^^これからも応援しています！ (2023年3月16日 9時) (レス) id: a3a66f07ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ロク | 作成日時：2022年7月18日 9時
