34.「気にしてもしょうがない」 ページ34
RJ side
RJ「あれ、Aとジェミンは？」
JN「いないね」
RJ「さっきまでそこにいたのに」
JN「二人のことだから心配ないと思うよ」
疲れたからちょっと休むと言ってAが岸に上がって、ジェミンが戻ってきて何か話してるなと思っていたのに、
気づいたら二人はいなくなってた。
朝から少し元気がなく見えたAのことをジェミンはしきりに気にして、いつもよりもべったりとくっついていた。
後ろから覆いかぶさるようにくっついたジェミンに
「暑い、おねがいだから離れてほしい」
とAは怒っていたけどそれもいつもより覇気がなかった気がする。
ジェミンがAを大事にしているのは見ていれば簡単に分かった。
でもそれは俺が抱えていたようなものではなく、どちらかと言うと小さい子供に向けるものに似ているような、そんなものだったと思う。
とにかく一人だけに与える特別なものではなかったはずなのに、いつの間にか同じものに変わっていた。
RJ「……あの二人どうなってんだろうな」
JN「どうだろうね」
RJ「ジェノは気にならないわけ？」
JN「ならないわけじゃないけど、気にしてもしょうがなくない？」
ジェノは不思議なやつだと思う。
クラスメイトやAもジェミンのことをよく分からないと言うけど、俺はジェノのほうが分からないことが多い。
自信家ではないけど、悲観的でも楽観的でもない。
ただ揺るぐこともないように見える。
『ジェノ〜！ロンジュ〜ン！アイス買ってきたよー！』
戻ってきたAはさっきまでの憂鬱そうな空気が嘘のように晴れやかな空気を纏っている。
ジェミンにはきっと魔法使いの素質がある。
Aに何をしたんだろうと考えてみたけど、
俺はジェミンじゃないから分からないし、同じことができるとは思えなかった。
「溶けちゃうよ〜」と大きい声を出してAが俺達を呼ぶから「そんなに大声出さなくても聞こえる」と返事をして岸へと向かった。
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作者名：ロク | 作成日時：2022年5月8日 2時
