【ツイステ】捕食者。【男主】

硬貨19枚 ページ20

レオナ「手グセの悪さはラギーに似たな」


ラギー「俺でもこんなことしないッスよ」


『えっ、兄ちゃんも盗ってるとてっきり……』


ラギー「俺をなんだと思ってるんスか」




事情を聞いてため息をつくラギー。
まぁ自分もナメてきた相手の財布は何度かスッたけど、と手を動かしながら思い出していた。



Aの方が手グセ悪いけど。
絶対にバレる、なんてヒヤヒヤしながら見ていても全く気付かれない。
堂々としているし、なんならその分の記憶も無いように見えるほど。




『この前ハーツラビュルの人から盗ったんだけどさぁ、すっからかんだった』


ラギー「あ〜わかる、時々そういうやついるッスよね。何の為に財布持ってんだろ」


『奢ってもらったときの誠意かな』


ラギー「質悪すぎでしょ」




この前の昼、リドルらに追い回されたことを根に持っていた。




敢えてハーツラビュル寮生を狙うも失敗。
中身を見てみたが、入っていたのは硬貨が1000マドル強くらいあっただけ。
それを盗っても仕方ない、とその後バレないように本人に返したのだった。




レオナ「そういやお前、ルークに気に入られてるらしいじゃねぇか」


ラギー「はっ！？なん、え"っ、マジ！？」




レオナの言葉に、Aはこくんと頷く。
ラギーは驚いて手に持っていた服を床に落とした。驚きすぎて寿命が縮まったような気さえする。



本当に苦労のかかる弟分だ。




『マジ〜。手は出されてないけどね』


ラギー「気をつけろとあれほど…」


『だって狩人サマ僕のこと好きだもん』




軽快な笑みが小さく響く。



自分のことを手に入れようと奔走する人を無視するなんてことはできない。
あんなにお小遣いが弾むなら尚更。手放してやる理由など無かった。




普通の人だったら多分切っていた。なるべく会わないように離れながら。
でもルークに関してはそもそもそんなことが効かなかった。逃げればその分先回りしてくる。




レオナ「ま、何でもいいが、自分のやったことの責任は自分でとれ。いくら気に入られてたって誰も責任なんかとりゃしない」


『わかってますよ〜』


ラギー「ほんと、泣きつくのだけは勘弁ッス」




皆面倒なことは嫌い。Aだってそうだった。



他人を巻き込めば巻き込むほどお互い面倒になる。
変に拗らせるよりも1人で片付けた方が余程マシ。



再び縦に頷いて、Aは部屋の掃除を再開させた。

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