174.王と失敗 ページ5
寮長会議終わり、アルタイルはリドルと共に生徒会室で運営について話し合った。
1通りのことを話し、息をついた暫しの空白時間、リドルは躊躇いがちに口を開く。
「アルタイル先輩、ボク...先輩に言われた通り、母と話をしようとしたんです。」
『...』
アルタイルの温度のない瞳が無言で続きを促す。
俯いているリドルに普段の威厳はない。
ただ母親との関係に悩んでいる1人の思春期の少年がいるだけだった。
「母にボクの教育方針について話されたそうですね。」
『...ああ。』
「母は、ボクが帰ってきた途端にこう言ったんです。」
ごめんなさい、リドル。お母様が間違っていた。
「泣きながらすがりつく母に、ボクは思いを伝えることは出来ませんでした。いつも厳しくて、あれ以来少し憎みさえし始めていた母が憐れだったから。」
さめざめと泣く母に更なる現実を突きつけ、奈落に落とせるほど、非情になりきれなかったから。
「あなたのせいです、アルタイル先輩。」
どくん、とアルタイルの心臓が跳ねた。
彼のリドルを思っての軽率な行動によって、結局母子の思いは通じ合わないまま。
親から度の過ぎた教育、束縛を受けている子は、親に依存していることが多い。
いくら親からのそれが間違っていると気づき、親を憎んでも、親が少し謝罪の意を伝えれば、子は許さざるを得なくなる。
何故なら、親を愛しているから。
親から暴力を受けていた訳ではない。
むしろ愛してもらっていた。
生活には何の不自由もなかった。
だからこそ、子は非情になりきれない。
そして、親はその優しさに無意識に浸け込んで、また変わらない生活が始まるのだ。
拒絶できないから。愛しているから。
繰り返される。何度も、何度も、
きっと、どちらかが死ぬまで、ずっと。
「あなたが母に会わなければ、分かり合えたかもしれなかったのに。」
あなたのせいです、アルタイル先輩。
最後にもう1度そう言って、リドルは彼を一瞥したあと生徒会室を出ていった。
アルタイルは小さな後ろ姿を呆然と見送った。
彼がリドルの母に中途半端にことを伝えたせいで全てを理解した気になった彼女は、リドルの話を聞くことをしなかった。
いや、耳を傾けてはいたのだが、''王''の言葉に感銘を受け、自分の新たな考えを確固たるものにしてしまっていた彼女は、息子の話など本当の意味で聞いてはいなかった。
人の人生をいとも容易く変えられる、王。
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猫やぎのサブ(プロフ) - コメント失礼します！陽炎さんの作品とっても大好きです！アルタイル様のイメソン‥「1000年生きてる」如何でしょう、、 (1月7日 11時) (
レス) id: 497823dae0 (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - もうコメントするの遅すぎたと思いますが…｢The Beast｣いいと思います！！ (2023年1月16日 22時) (レス) @page29 id: f878b3efd0 (このIDを非表示/違反報告)
あなたの心にAmazing - アルタイル様は...私的にピッタリだなぁって思ったのが、まふまふさんの「空腹」です。胃というところで共通点があるのと、歌詞にも「愛を知らない」、「化け物」というワードが出てきたり...他にもアルタイル様と重なる歌詞がたくさんです。いい曲ですよ！ (2022年12月24日 22時) (レス) @page29 id: 4aeec97b35 (このIDを非表示/違反報告)
スミィス - アルタイル様は「オレンジ」って曲、どうでしょうか…大好きです！！ (2022年11月9日 18時) (レス) id: f06ecf8049 (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - 初コメ失礼します！！アルタイル様ガチ勢です！！アルタイル君世界で一番愛してる自信あります！！アルタイル様のイメソンで、まふまふ様の「廃墟の国のアリス」とかはどうでしょう､､､？ (2022年9月18日 19時) (レス) @page29 id: f2671d43ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：陽炎 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kagerouhp/
作成日時：2022年2月10日 22時
