203.王と毒林檎 ページ37
『さて、フェルミエ君。』
エペルは脳ミソを掻き回し、自分がここに呼ばれるに至った罪を考えた。
デュースと海に行った件はもう許されたはずで、ならばヴィルという寮長に反抗的すぎるからだろうか、それとももっと前に睡眠薬入りと知りながら紅茶を運んだことだろうか。
そういえば紅茶の時、話したこともないのに名前を知られていて驚いた。
『闇の鏡は、その者の本質を映すものだ。』
「...はい？」
突拍子もない話題に、エペルはぽかんと口を開いた。
アルタイルは憎いほど長い脚を組み換える。
『君は本来サバナクローに入りたかったと記憶しているが、2寮が掲げる''奮励''と''不屈''にさしたる違いはない。』
どちらも遠い夢を追いかけ、目の眩むような高みへ努力を続ける高貴な精神だ。
見た目が違うために正反対と言われることが多いし仲も良いとは言えないが、恐らく同族嫌悪と、それでいて己の流儀に反するものへの怪訝さだろう。
「じゃ、じゃあなんで俺...僕はサバナクローじゃなくてポムフィオーレなんでしょうか。」
違いがないならサバナクローが良かった、と肩を落とすのも当然だ。
だがエペルがポムフィオーレに選ばれた理由は、容姿は関係なくその僅かな違いにある。
『不屈は上を覆すことに重きを置いている。どれだけ頭の上に石を乗せられても見返してやる為に努力をするのだ。』
どうあがいても上に兄王という存在があるレオナ。
スラムという底辺から逃げられず、上流階級からあらゆる搾取を受けるラギー。
トップのレオナを尊敬しつつも姑息とし、いつか自分が上へいくと研鑽するジャック。
彼らは覆すことを重視し、努力はその課程に過ぎない。
『反して奮励は、自己の実現を目指すものだ。』
美しき女王やヴィルにはライバル視する相手がいたものの、倒すことではなく、自分を磨くことを選んだ。
決して勝ち負けではなく、目指す場所に別の相手がいたから邪魔だっただけなのだ。
「...僕は、ヴィルサンに腹が立っても、自分が頑張って文句を言わせないようにしようと思っていたんです。」
行動と結果でねじ伏せて、そうしたら自分が寮長になる。
「ヴィルに勝つ」のは経過に伴う副産物で、エペルはヴィルを黙らせて好きに生活したいと思っただけ。
『理解できたかな、君がポムフィオーレな訳が。』
「...はい！」
そう考えれば、胸に蟠った不満が解けていく。
ポムフィオーレの奮励で、自分なりに磨いていこうとエペルは思えた。
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猫やぎのサブ(プロフ) - コメント失礼します！陽炎さんの作品とっても大好きです！アルタイル様のイメソン‥「1000年生きてる」如何でしょう、、 (1月7日 11時) (
レス) id: 497823dae0 (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - もうコメントするの遅すぎたと思いますが…｢The Beast｣いいと思います！！ (2023年1月16日 22時) (レス) @page29 id: f878b3efd0 (このIDを非表示/違反報告)
あなたの心にAmazing - アルタイル様は...私的にピッタリだなぁって思ったのが、まふまふさんの「空腹」です。胃というところで共通点があるのと、歌詞にも「愛を知らない」、「化け物」というワードが出てきたり...他にもアルタイル様と重なる歌詞がたくさんです。いい曲ですよ！ (2022年12月24日 22時) (レス) @page29 id: 4aeec97b35 (このIDを非表示/違反報告)
スミィス - アルタイル様は「オレンジ」って曲、どうでしょうか…大好きです！！ (2022年11月9日 18時) (レス) id: f06ecf8049 (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - 初コメ失礼します！！アルタイル様ガチ勢です！！アルタイル君世界で一番愛してる自信あります！！アルタイル様のイメソンで、まふまふ様の「廃墟の国のアリス」とかはどうでしょう､､､？ (2022年9月18日 19時) (レス) @page29 id: f2671d43ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：陽炎 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kagerouhp/
作成日時：2022年2月10日 22時
