190.王と大気汚染 ページ21
オーバーブロットして変わってしまった衣服を羽ばたかせ、右目に炎を燃やしたヴィルが降り立った。
「逃がさないわ...アタシの醜い姿を見た者は誰1人生かしておくもんですか！」
そうして彼は猟奇的な高笑いを響かせる。
皆一斉にマジカルペンを握りしめて魔法を展開する準備をした。
魔力のないユウはカリムによって後ろの物陰に隠され、息を潜めている。
各々が覚悟を決める中、アルタイルは取り出した胃薬をガリッと噛んでため息をついた。
「ヴィル...その痛みの檻から、今キミを解き放とう。」
戦況は混乱を極めていた。
今まで対峙してきた彼らは理性を失っているのもあって、ほとんど単純な魔法攻撃しかしてこなかった。
だが今回のヴィルのユニーク魔法は非常に厄介だ。
「あぁ...お節介なじゃがいも共！こうなったら...お前達もろとも道連れにしてやる...！」
毒と呪術に精通するポムフィオーレ寮長なだけあって、彼の操る紫の毒は空気に乗って、別の方面から彼らの体力を削いでいく。
『...シルフ、大丈夫か。』
攻撃を避けながら風の精霊を労ったが、空気は弱々しく揺らいだだけで返事はない。
彼女は大気汚染にめっぽう弱いのだ。
つまりはその環境にいる自分達、そしてヴィルも相当まずい状況であるということを意味していて、アルタイルは大きく舌打ちをした。
この場にいる2年生以上の生徒は皆、魔法士育成の名門校における''長''の付く立場にあるので、魔力量は多く、少しは余裕があるように見える。
だが魔力が人並みの1年生に関しては、必死に応戦しているが、これ以上長引くと良くない。
ある1人を、除いて。
『...スペード君、』
先程から妙な魔力の流れを感じる彼を横目で見やる。
時間経過と共にデュースの元に魔力が渦巻き、どんどんそれが肥大していくようだ。
しかもその渦は彼の魔力とは厳密には言いづらいように思う。
むしろ、あれは攻撃を放つシェーンハイト君の＿＿
「＿＿お前ら、伏せろ！」
突然腹の底から叫んだデュースに、何かを察した様子のエペルは彼の言う通りに行動するよう言う。
「俺は、頭を使って考えるのが苦手だ。何度も繰り返し叩き込まないと、理解できない。」
それはきっと、入学以来要領の良いエースと比べられてきた自嘲と苦悩。
しかし彼のピーコックグリーンの瞳は強い意思でギラギラと輝いている。
「でも...何十回、何百回、叩き込まれればモノにできる！」
彼を纏う魔力が、大きく膨れ上がった。
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猫やぎのサブ(プロフ) - コメント失礼します！陽炎さんの作品とっても大好きです！アルタイル様のイメソン‥「1000年生きてる」如何でしょう、、 (1月7日 11時) (
レス) id: 497823dae0 (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - もうコメントするの遅すぎたと思いますが…｢The Beast｣いいと思います！！ (2023年1月16日 22時) (レス) @page29 id: f878b3efd0 (このIDを非表示/違反報告)
あなたの心にAmazing - アルタイル様は...私的にピッタリだなぁって思ったのが、まふまふさんの「空腹」です。胃というところで共通点があるのと、歌詞にも「愛を知らない」、「化け物」というワードが出てきたり...他にもアルタイル様と重なる歌詞がたくさんです。いい曲ですよ！ (2022年12月24日 22時) (レス) @page29 id: 4aeec97b35 (このIDを非表示/違反報告)
スミィス - アルタイル様は「オレンジ」って曲、どうでしょうか…大好きです！！ (2022年11月9日 18時) (レス) id: f06ecf8049 (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - 初コメ失礼します！！アルタイル様ガチ勢です！！アルタイル君世界で一番愛してる自信あります！！アルタイル様のイメソンで、まふまふ様の「廃墟の国のアリス」とかはどうでしょう､､､？ (2022年9月18日 19時) (レス) @page29 id: f2671d43ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：陽炎 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kagerouhp/
作成日時：2022年2月10日 22時
