180.王と久方ぶりの会話 ページ11
「待って、」
昼休みも終わりかけ、睡眠不足から来る頭の重さを感じながらゆっくり教室に向かおうとしていたアルタイルは、久しぶりに聞いた声に眠気が吹っ飛んだ。
『...何だ。もう関わらないんじゃなかったのか？』
そう尋ねるアルタイルは意地が悪い。
ヴェーガはどこか不満げに床の数m先を見つめている。
「そうしようと思ってたんだけど、聞きたいことがあるんだ。...VDCのことで。」
軽く相槌を打って話の続きを促した。
言うべきか言わないべきか迷っているように青緑の瞳を揺らめかせ、ぽつりぽつりと話し始める。
「オーディションを受けたんだけど、一緒に練習したエースとデュースは受かったんだ。」
『そうか、良かったな。それで？』
「それで...俺は落ちたんだよね。」
『残念だったな。』
ヴェーガには、自分が言い出したのに決定的な言葉を言う勇気が出なくて口ごもることがある。
ハッキリとものを言うことはあっても、人を疑ったり悲しむことを言ったりすることは、怒って感情の制御が利かなくなったときくらいしかない。
彼は根からの優しい人間だから、人を傷つけることはしたくないのだ。
アルタイルは考えた。
弟が言わんとしていることを。
友人は合格、本人は不合格。
それをわざわざ不仲の兄に言いに来た。
とても言いにくそうだ。
...そこから導きだされる、答えは。
「...その...」
『なるほど。つまりお前は、私がシェーンハイト君にお前を落とすよう根回ししたのではないかと疑っているわけか。』
ユウにでも唆されたのだろう。
ヴェーガのことが嫌いなアルタイルがわざと落とさせたのかもしれないと。
あの娘はヴェーガのことが大層好きらしいから、冷たく当たる己を嫌うのも道理だ。
それに、彼女が少し過激な
『...仮に、私がシェーンハイト君にその話を持ち掛けたとしよう。その上で、お前には彼がそれを了承するような人間に見えるのか？』
「...無いな。」
ヴェーガは目が覚めたように見開いた後、あり得ないと言いたげに
「兄さん、疑ってごめんなさい。」
『...ああ。』
''ごめんなさい''という少々幼げな言葉は、幼いヴェーガしか見ていないアルタイルの心と深くシンクロして、大きな安心感を与えたのだ。
そしてそれはヴェーガにとって酷なことだった。
2人は知る由もないが。
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猫やぎのサブ(プロフ) - コメント失礼します！陽炎さんの作品とっても大好きです！アルタイル様のイメソン‥「1000年生きてる」如何でしょう、、 (1月7日 11時) (
レス) id: 497823dae0 (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - もうコメントするの遅すぎたと思いますが…｢The Beast｣いいと思います！！ (2023年1月16日 22時) (レス) @page29 id: f878b3efd0 (このIDを非表示/違反報告)
あなたの心にAmazing - アルタイル様は...私的にピッタリだなぁって思ったのが、まふまふさんの「空腹」です。胃というところで共通点があるのと、歌詞にも「愛を知らない」、「化け物」というワードが出てきたり...他にもアルタイル様と重なる歌詞がたくさんです。いい曲ですよ！ (2022年12月24日 22時) (レス) @page29 id: 4aeec97b35 (このIDを非表示/違反報告)
スミィス - アルタイル様は「オレンジ」って曲、どうでしょうか…大好きです！！ (2022年11月9日 18時) (レス) id: f06ecf8049 (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - 初コメ失礼します！！アルタイル様ガチ勢です！！アルタイル君世界で一番愛してる自信あります！！アルタイル様のイメソンで、まふまふ様の「廃墟の国のアリス」とかはどうでしょう､､､？ (2022年9月18日 19時) (レス) @page29 id: f2671d43ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：陽炎 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kagerouhp/
作成日時：2022年2月10日 22時
