170.熟慮とオンボロ ページ1
「...こんなところで何をしてるんだ、監督生。」
いつものごとく生徒会長室前で待ち伏せをしていたユウは、呆れたような物言いの落ち着いた声にパッと表情を明るくした。
「ジャミル先輩...！どうでしたか？」
「どうって、何故君がそんなことを気にするんだ。」
ジャミルは怪訝そうな顔を隠しもせずに尋ねる。
彼は長年の計画が破綻した原因であるユウを少なからず憎く思っていた。
秘密であるはずの指導の内容を、当然の如く教えてもらえると考えているだろうその顔に腹が立った。
「何か、嫌なこととかされませんでしたか？」
「嫌なこと...ああ、できれば知りたくなかったことを知らされたよ。」
嫌味な人だよな、とジャミルは呟く。
ジャミルの計画に気づいているならもっと早く教えてくれたらよかったのに。
いや、それでもストレスというものは難儀なもので、いけないこととは分かっていても爆発させてしまう。
それが今回の結果だったのだから、変わらないか。と、自己完結した。
熟慮の彼は自分の中で生まれた不満への答えがすぐに自分で導けてしまった。
ジャミルは寡黙な性質で、若干言葉が足りない傾向にある。
1周頭を回転させた後に出た結論「今教えてもらえてよかった」という言葉が少々足りなかった。
よって、面倒なことに勧誘されることになるのだ。
「生徒会長に何の権限があるんだって思うんです。闇の鏡に選ばれたからって、生徒なのに学園長と同じくらいの決定権を持つなんておかしいです。」
それこそ、生まれだけでジャミルの上に立つと決まっているカリムのように。
「そ、れは...確かに？」
「でしょ！？」
ここは生徒会長室前である。
言わずもがなアルタイルが聞いているはずなのに、ユウは愚かにもそれを考えつかない。
「でも、闇の鏡は絶対だ。」
「みんなそう言いますね。」
ユウの話を聞いた上級生は皆、口を揃えて闇の鏡闇の鏡と言う。
うんざりだ、と彼女は唇を尖らせた。
「あのな、監督生。君は忘れているようだから言っておくが。」
その様子にジャミルは再び呆れた顔をした。
頭の足りない可哀想な人間への憐憫の情が湧いた。
「闇の鏡が絶対だからこそ、お前は今この学園に通えているんだぞ？」
「！！」
闇の鏡がそこまで重要度を占めていなければ、女であり魔法を使えないユウは学園から追い出されて当然だったのに。
ジャミルは動揺するユウに背を向けて歩き始めた。
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猫やぎのサブ(プロフ) - コメント失礼します！陽炎さんの作品とっても大好きです！アルタイル様のイメソン‥「1000年生きてる」如何でしょう、、 (1月7日 11時) (
レス) id: 497823dae0 (このIDを非表示/違反報告)
シキ(プロフ) - もうコメントするの遅すぎたと思いますが…｢The Beast｣いいと思います！！ (2023年1月16日 22時) (レス) @page29 id: f878b3efd0 (このIDを非表示/違反報告)
あなたの心にAmazing - アルタイル様は...私的にピッタリだなぁって思ったのが、まふまふさんの「空腹」です。胃というところで共通点があるのと、歌詞にも「愛を知らない」、「化け物」というワードが出てきたり...他にもアルタイル様と重なる歌詞がたくさんです。いい曲ですよ！ (2022年12月24日 22時) (レス) @page29 id: 4aeec97b35 (このIDを非表示/違反報告)
スミィス - アルタイル様は「オレンジ」って曲、どうでしょうか…大好きです！！ (2022年11月9日 18時) (レス) id: f06ecf8049 (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - 初コメ失礼します！！アルタイル様ガチ勢です！！アルタイル君世界で一番愛してる自信あります！！アルタイル様のイメソンで、まふまふ様の「廃墟の国のアリス」とかはどうでしょう､､､？ (2022年9月18日 19時) (レス) @page29 id: f2671d43ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：陽炎 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kagerouhp/
作成日時：2022年2月10日 22時
