一話 ページ3
ユウside
Aさんがそう言うと、辺りがざわつく。
それもそうだ。いきなり死ぬと言われても、しかも死ぬのは私たちじゃなくてAさん。
全く持って意味がわからない。
そんな私たちの気持ちが分かったのか分からないのか、Aさんが首を傾げる。
そこに近づいていくのは、私たちの担任のクルーウェル先生だ。
「……A、いきなり自分で死ぬ宣言する奴があるか」
『あ、デイヴィス。だって最初に言っとかないと、デイヴィスみたいに半泣きになるかなって』
「なってない、捏造をやめろ。……生徒たちにきちんと説明しろ。そのための時間だこれは」
『分かった。……えっと、私はマンボウの人魚です。海で生まれました。三億人くらいいた兄弟は皆死にました』
「誰がそんな暗い身の上話をしろと言った？」
クルーウェル先生が心底理解できないと言う顔でAさんの頭を叩きかけて、やめた。
なるほど、死ぬと言うのもあながち間違いではないのかもしれない。
あの人があんなにビビっているの初めて見た気がする。
『私は祖先であるマンボウの血を濃く受け継いでいます。よって、身体が物理的に弱く軽く叩いただけで骨が折れます。あと、突然眩しくなったり脅かされたりしたら気絶します』
淡々とAさんは言っているが、それって結構重要なことなのでは。
そんなに骨とか脆くて大丈夫なのだろうか。
……そういえば元の世界でもマンボウの話は聞いたことがあったな。
最弱、とかなんとか言われてたっけ。
私がそう考えている間にも、Aさんのスピーチ(？)は続く。
『ちなみに今も沢山の人から注目されている緊張で気絶しそうです』
「やめろ」
『多分しばらく帰ってこれないので一応実家に遺書を置いておいたんですが、それが本当にならないことを願っています』
「それは俺も願っている。切実にな」
『あ、あと。皆さん犯罪者にならないよう気を付けてください』
「生徒に頼むな。自分でも気を付けろ」
『これから喧嘩がある度に私が向かいます。間違って私を殴ったら……どうなるかお分かりですね？』
クルーウェル先生とAさんのコントのような掛け合いが終わったと思ったら。
私たちを見渡したAさんが、にこっと笑う。
その笑みに、ナイトレイブンカレッジ生徒たちの背筋は凍ったとか。
続く
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妖々梅雨里(プロフ) - 腹が死にました(笑いで) (2020年10月15日 12時) (
レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
妖々梅雨里(プロフ) - 見た瞬間「ギャグなん？シリアスなん？？？」って混乱しましたどうしてくれるんですか (2020年10月11日 19時) (レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玲凛 | 作成日時：2020年8月1日 15時
