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【42匹目】 ページ46

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「…はっ、は…っ」



荒くなる息を抑え、息を潜める
なんなんだろう、あれは



「A…さん」



隣でユウちゃんが恐怖を抱えた顔でこちらを見る
その小さな手を少し強い力で握った



図書館の入り口は蔦のようなものが塞ぐように広がっている
ずり…ずりと床を這いずる音の主もきっと似たようなものなんだろう



どうしよう、入口を塞がれてたら出られない
ここの窓は頑丈な作りになってるから私たちの力じゃ割ることは愚か傷をつけることすらできないだろう



誰かの助けを呼べればいいのに、スマホは生憎置いてきてしまったらしい
ユウちゃんはトラッポラくんたちに連絡しようと試みていたが、いまもまだスマホは繋がらない



ドクンと、恐怖から心臓が強く脈打つ
手が、震える



「…っ、」



ここにいた他の生徒たちはどうしたんだろう
ちゃんと隠れられているのだろうか



誰も怪我をしてないだろうか
…助けは、いつくるんだろうか



「取り敢えず二人に連絡はしておきました。あとはどうやってあれの目をかいくぐるか…ですね」



するりと横を蔦が通り抜けていく
何かを探るように、それは動いていた



音に反応しているのか、熱に反応しているのか
それとも蔦は何も感知することはできないのか



それが分かればまだ少し対策を練ることができるかもしれない…けど
私にあれを追い払えるくらいの魔力はないし、どこまで持つか分からない



ずりずりと這いずる音が近づいてくる



「ユウちゃんこっち」



ゆっくり立ち上がって彼女の腕を引く
図書館の中は広いから、見つからなければ時間は稼げる
そうしたら、きっと…



「…っ!」



ドンと大きな音がして、彼女をひいていた手が引っ張られる
振り向くと、彼女の足には蔦がぎっちりと絡みついていた
ずるずるとその場に現れたのは、花の形をした何か



きっとこの蔦の持ち主であり、何らかの理由があって私たちを狙っているんだろう



咄嗟に火魔法を使って蔦を焼き切る
再び襲ってきた蔦も焼き切って彼女の手を引いた



「立てる?」



「…はいっ、」



「奥に走って、思いっきり」



「でも、そしたらAさんが」



「大丈夫、時間を稼ぐことが出来たら異変に気づいた学園長が来てくれるはず。だから、ほとぼりが冷めるまでどこかに隠れてて」



トンと彼女の身体を後ろ手に押す
戸惑いながらも彼女は図書館の奥へ走っていった



「…さて」



どうやって持たせようか

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あおい(プロフ) - 初コメ失礼します。リクエストになるのですが、二人が大喧嘩をしてしまう様子を見たいです!よろしくお願いします。 (2020年8月10日 0時) (レス) id: 34a265efc7 (このIDを非表示/違反報告)
あすか - 素敵なお話ありがとうございました!! (2020年8月9日 18時) (レス) id: 25d1c36d01 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - んんん、耳と尻尾が生えたクルーウェル夫婦最高でした…!まじでごちそうさまでした (2020年8月5日 20時) (レス) id: a494b1d180 (このIDを非表示/違反報告)
あすか - 最高過ぎます!!リクエストになるのですが、、、魔法の力を高めたい夢主ちゃんはマレウスとリリアに教わり仲良くなる様子が見たいです!ついでにクルーウェル先生とリリアの絡みがあれば嬉しいです。笑 (2020年8月3日 17時) (レス) id: 25d1c36d01 (このIDを非表示/違反報告)
ふぇお - 最高でしたありがとうございました (2020年8月3日 15時) (レス) id: ec620c1410 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ルイ x他1人 | 作成日時:2020年7月28日 19時

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