【ツイステ】ヴィランじゃないので帰らせてください。2 (ページ35)

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収容リバティー！4 ページ35

そもそも私は

ヴィランじゃないし……

ここに通うには場違いすぎる上に、
オマケに成り代わりときた。

女の子の。

『ほんと誰だよぉぉぉ。
声聞こえるのに姿見えないし、
色々厄介事に巻き込まれるし……。』

〔失礼ね。私は貴女だと言うのに……。〕

『知るかぁ……！
私がここで生きてくためには
貴方の攻略情報がないと無理です！！』

〔……イデ先輩みたいなこと言うのね。〕

はぁ、と1つ溜息吐くヴァネッサ。

〔A･ヴァネッサ。オクタヴィネル寮1年。
歓喜の港出身。好きな食べ物はオウムガイのバター焼きで、嫌いな食べ物はキノコ。ユニーク魔法は……この前使ったから分かるわよね。〕

人が宙ぶらりん状態だと言うのに
ペラペラと語り出す彼女。

〔あら、貴女が知りたいって言ったんじゃない。〕

悪戯に笑う。

『そうだけど……！時と場合ってものが……！』

〔そうね。あまり長く話してる場合じゃないかも。〕

さっきまで下に居たヴィルさんの姿は消え

「A！！アンタこんなもの作って……！！」

私の真後ろへと現れる。

こんなものとは、
ヴァネッサが作った隠し通路だろう。

「前にもそうやって逃げたのね。
本当に、人騒がせな子だわ。」

ヴィルさんは手を伸ばし、
私の手首を掴んだ。

『……離してくださいっ。
私は今！逃げようとしているんです！！！』

「アンタねぇ……。
そう言われて逃がすバカ何処にいるのよ。」

そう言って、さらに力が篭もるヴィルさんの手。

『……っ。』

〔残念だけど、ここでおしまいみたいだね。〕

突然訪れた浮遊感。

落ちたのではなく

私の体を
誰かが抱き寄せるように持ち上げた。

「本当に困ったプリンセスだね。キミは。」

「遅いわよルーク。危なかったわ……。」

私がルークさんに捕獲されたことに
安堵したのか、ヴィルさんの額には
汗が垂れていた。

「どうしてこんなこと？」

ルークさんは、いつものように
優しい笑顔で問いかけた。

でも今はそれが怖くて
私は黙ったまま、下を向いた。

このまま捕まって、学園にも行けず
ポムフィオーレ寮の人達に世話されっぱなしの
生活でいいんだろうか？

いや、良くない。

ここから逃げるにはどうすれば良いのだろうか。

考えろ。何かあるはずだ。

空にも届きそうなこの高い位置から
私は辺りを見渡した。

〔……ふふ。諦めていないみたいで良かった。〕