【ツイステ】ヴィランじゃないので帰らせてください。2 (ページ33)

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収容リバティー！2 ページ33

時間というのは
悲しいくらいにとても早い。

あの日から私は
ポムフィオーレ寮から出ていない。

何日経っただろうか。
もう数えるのすら辞めた。

毎日綺麗なドレスを着て
頭のてっぺんから爪の先まで
ヴィルさんやルークさんに手入れされている。

なぜここまで執拗されるのか
私には分からなかった。

同じAでも
中身は別の人だと言うのに。

『警戒心強いし。』

皆がいない時間はこうして、
外側から自室に鍵をかけられ
皆の帰りを待つだけの退屈な日々。

窓も無いから
外が今晴れているのか
雨が降っているのかも分からない。

スマホだってポムフィオーレ寮生以外の
連絡先は全て消され、
番号もアドレスも変えられてしまった。

完全に病んでますよ。
束縛激しすぎでは？？？

でもまぁそうなるよねぇ……
前科アリっぽいし。

仕方ないっちゃ仕方ないのか……？

でもそろそろ飽きてきたよね。
この生活も。

推しへの需要と供給も足りてないしさ。
授業だってただでさえ着いていけないのに
これ以上は留年ですよ。

でも、皆が真面目に授業受けている間
1人ドレス着てボーッとしてるのも
それはそれで面白いね。

物語のプリンセスみたいに
私もこうして部屋の中で王子を待っていたら
迎えに来てくれるかしら……ふふふ

王子……王子……推し……へへ

なんて。来るわけない。
ポムフィオーレ寮って
他寮生の出入り厳しそうだし。

あれ、私詰んだのでは……？？

真面目にやばい気がしてきた。

『とりあえず、扉……』

ｶﾞﾁｬｶﾞﾁｬと回したり
ﾄﾞﾝと身体をぶつけてみる。

やっべぇ……ビクともしねぇ……。

次だ次。

『空気口とかから逃げられたり……』

ハハッ。ネズミ専用かな？

結果、小さ過ぎて通れない。

そうだな……窓が無いなら
代わりに隠し通路とかないかな

『なんて、あるわけないよねぇ』

ドレッサーやベッドをペタペタと触ってみるが
何ともない。

〔あるわよ〕

？！？！

まただ。またこの声……。

〔驚くことないじゃない。2回目でしょ？〕

いや、そうだけど……って

『どこにいるの？何処から声が……？』

〔……。本当、可哀想な人〕

『……？』

〔まぁ、それは置いといて〕

ドレッサーの鏡に映った私が
怪しく笑った。

〔出たいんでしょ？ここから〕

出たい。

そう思った瞬間

ぐらりと視界が崩れた。