【ツイステ】ヴィランじゃないので帰らせてください。

ご馳走マッシュルーム！3 ページ23

散乱したラウンジに
倒れた一人の少女。


「ジェイド。あなた、一体何を？」



フロイドが彼女に構っている間、
僕はジェイドに尋ねた。


推理するまでも無く
犯人はこの男だ。


ニコニコと、この状況を
楽しんでいるようにすらも見える。



「シビレタケを少々。」



ジェイドは、
彼女が食べていたパスタを掬い

同じように口に含んだ。



「……安心してください。
死にはしませんから。」





手足の痺れと、幻覚症状


酷い人だと吐き気や目眩もするようだ。




「どうやら、"ウツボ"には効かないみたいです。」




汚れた口元をハンカチで拭き
散乱した食器類を片付け始めた。









「アズールが食べたら、
一体どんな症状が出ていたでしょうか。」




もし、彼女と同じように倒れたら？


僕は、ゾッとした。




相変わらず、ジェイドは
何を考えているのか分からない。




「……しかし。おかしいですね。」



ジェイドは作業を止めて、
思い出したかのように言った。




「彼女はキノコが"嫌い"なはず。」



まるで、人が変わったようです。と


可笑しそうに笑う。



「アズール、何か知っていますね？」




流石。鋭い観察眼だ。
彼女の微細な行動で
おかしいことに気が付いたのだ。


というより……なんか……



もしかしてですけど。




「……拗ねてます？」


先程から、イライラしているような。
言葉一つ一つに突っかかりがある。




本人も図星だったのか
目を丸くさせ、驚いている。



「アズールじゃないんですから……そんな。」




聞き捨てならない言葉が聞こえたのですが。




「まぁ、深く関わらないことにします。」



「あなたの慈悲深さに感謝します。」



ふと、フロイドの方を見ると

彼女を抱きかかえて
ラウンジの広いソファへと寝かせていた。



「なんでこんなことしたの。ジェイド。」


怒っているような

悲しんでいるような


色んな感情が混ざっている。




「……フロイド。」









「ジェイドなんて……。」







あぁ……寮生の模範となる僕達が


紳士の社交場であるモストロ･ラウンジで
揉め事だなんて。





「ジェイドなんてもう知らない……！！！」





知らないと、フロイドは叫び
ラウンジを出ていった。









「すみません。」




暫くして、ジェイドは謝った。





それは、誰に対して
向けられた言葉なのだろうか。





誰にも届かなかった。

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