劣等感を愛して (ページ3)

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２．君を知らなかったわけじゃない。ページ3

遅れてきたその人はこの学校でも有名人。あの紫のタコ。。。もといアズールの仲間であるジェイド兄弟のうちの一人。フロイド・リーチだ。この学校の中でも長身で、まるで壁のような高さがあるが、その体の線の細さ、薄さで見た目からごついという印象は受けない。ただ存在感はとても強く感じるそんな男だ。

「フロイド先輩！こっちです！」

　顔を見たことがあるかなくらいのモブが声をかけて、そこに走っていく先輩を見る。

　あ、やっぱりクルーウェル先生に遅れてきたのがばれて怒られてる。

　「ほかの生徒は集中するように」と先生からの掛け声があり、みんなが集中していた大きなウツボからみんな目をそらし始めた。まぁ、そのうちの一人に私もいるのだが。

意識を手元の薬草に移し、灯の実に目をつぶす作業を始めた。前の世界でいう、アボカドみたいなものだ。中の種が入っていなく、種はイチゴのように周りについているという点だけがアボカドとは違う点だと思う。皮をむいてしまうから種は入らないようになっている。『種は入れないように』と注意書きがあるということは種が入ったりでもしたときはどうなるか。

　恐ろしいからこの作業は自分が引き受けた。エースなんかに任せた瞬間、私たちのグループは実験をせいこうさせることはできないだろう。ここまででまだ半分の作業だ。これよりまだあると考え、隣で遊んでいるエースとグリムを目の端でとらえて重いため息が出てしまった。

　自分たちの作業がなかなか進まず、先輩たちに手伝ってもらい、作業が七割ほどまで進んだころ。

「できた！」

　と大きい声が響き渡り、また一つのところにみんなの視線が集まった。あの男はどこまで注目を集めれば気が済むのか。その中心はやっぱりフロイドリーチで。当の本人は

「じゃあ、提出して先にやすもーっと。」

　なんて、ふにゃふにゃと相変わらず抜けた声をだしている。

　さっさと先生を呼んで後片付けを始めたその姿をみんな羨ましそうに眺め、エースは

「なんであのグループは早く終わらないんだなんて抜かしている。」

　デュースも声にこそ出しはしないが、その目には疲れが見え始めいかにも飽きたとその表情が伝えている。

　どうして。フロイドは遅れてきたのに。一番にできてしまうんだ。

　どうして。私は。

　こんなにも頑張っているのに。

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10/1に投稿できないので先に。