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監督生はムッと顔を顰めて、運転席に顔を向ける。
「せんせ、レディーにそんな口聞くんですか?」
「レディーならそれ相応の振舞いを身に付けろ。お前のそれは、そうだな…。倉庫に放置されている在庫処分のマネキンのそれだ」
「在庫処分…マネキン…」
クルーウェルが監督生の事をレディーと呼ぶのは、それは彼が一日がかりで仕上げた監督生の容姿にあった。
腰まで伸びた長髪。それは、綺麗なカールを描いて下に降りており、目を引くようなシルバーブロンドだった。
元よりあまり日に焼けていない肌は、化粧で更に白く見える。唇には血のような鮮やかな紅が乗せられ、彼の足元のハイヒールの色と口元が目を引く。この前ヴィルに整えられた眉毛は、コンシーラーで柔らかい印象を抱くように、女性らしく丸く細くなっていた。
肩から背中にかけて黒いレース生地のワンピースは、ウエストで細く締められ、ふわりと膝までスカートが広がる。そのシルエットは、薄い身体の監督生と思えぬほど緩やかなカーブを描いている。
端的に言えば、監督生は女装していた。それも、かなりの完成度の高さで、何故かガチガチのドレスコードで。
軽く羽織っている薄手のコートだって、女性物のそれで、やたらとウエストが細いのである。
監督生がずっと不機嫌そうに眉を寄せているのは、単純に女装させられた不快感と、腹回りを無理やり編み上げで締め上げられている物理的な気持ち悪さも相まっての物だった。おまけに、首には黒いチョーカーまで嵌められて居て、クルーウェルのセンスを疑う。
「番の女に首輪嵌めるとか、趣味わっる…」
「首輪じゃなくチョーカーだ。それに、散歩する時は、特に駄犬には、逃げぬように首輪を付けて縛り付けておかないとな」
明らかクルーウェルの好みに仕立て上げられたことと、首輪のようなこれを除くと、思ったよりもそれが自分の好みとも一致していたので、監督生は複雑な気持ちのまま車内を過ごすこととなった。
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副村(プロフ) - やまかさん» わー!ほんとだ!!!見返ししていなかったのが仇となりました…。お恥ずかしい限りです。申し訳ございません。ご指摘ありがとうございます。これからもご愛読いただける作品になりますよう努めてまいりますので、よろしくお願いいたします…! (2020年10月11日 2時) (レス) id: f5b1efd963 (このIDを非表示/違反報告)
やまか(プロフ) - いつも面白いお話をありがとうございます。これからも陰ながら応援させて頂きます。 (2020年10月11日 2時) (レス) id: 889b8b96c0 (このIDを非表示/違反報告)
やまか(プロフ) - はじめまして、いつも拝読させて頂いおります。1つ訂正して頂きたい箇所がありましてコメント致しました。クルーウェル先生の名前の事なのですが、『デイヴィス・クルーウェル』です。『デイヴィル』となっておりますので訂正して頂けると幸いです。 (2020年10月11日 2時) (レス) id: 889b8b96c0 (このIDを非表示/違反報告)
副村(プロフ) - 星猫さん» 知っているアニメ…!?副村(私)のでしょうか…?最近は殆どですが、数年前はアニメ観まくってましたー笑 (2020年9月30日 2時) (レス) id: 7af6887a6c (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 副村さん» 知ってるアニメは何ですか? (2020年9月29日 22時) (レス) id: dba8a79b51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:副村 | 作成日時:2020年9月23日 22時