P−7◆目指せ脱オンボロ ページ10
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相手が人間だろうがそうでなかろうが、はたまた生きてなかろうが、会って十数分の内にすっかりがっちり心を掴む。そして離さない。しかもこれを無意識のうちにやってのけるというのがAの恐ろしいところだ。
「そんな丁寧な喋り方じゃなくていいよ。俺たちルームメイトになるんだろう?」
「それもそう──、ね!」
喉まで出かかった「そうですね」を何とか飲み込んで、ほとんど勢いで返事をする。
本当についさっき初めて顔を合わせたゴーストとここまで打ち解ける娘を見れば、クロウリーはきっと涙ながらに彼女の社交性がいかに素晴らしいかについて2時間ぐらい語り続けるだろう。冗談抜きで。
「A、俺たちにも片付けを手伝わせてくれないかい?」
「えっ……良いの?」
「1人より4人でやった方が早いに決まってる!」
(人……?)
──単位、「人」なんだ──いや絶対そんなことないと思うけどな……。
口に出すことなく、Aはあくまで自分の心の中だけで「まぁ本人、じゃなくて本ゴースト達がそう言ってるんだからそうなんだろう」という結論に陥ってこくりと頷いた。
それを自分の言葉への同意と受け取ったらしい細めのゴーストが、にっこり笑って続ける。
「自立と言っても、周りの力を借りちゃいかんと言うわけじゃないぞ。困った時に誰かを頼るのはちっとも悪いことじゃあないからな」
「そうそう! どの道、そう小さくない建物まるまるひとつ綺麗にするには誰かの力があった方が良いからな〜」
「見にきた親父さんを驚かせてやろうじゃないか!」
(い、いい人(?)達だ〜〜〜……!!)
思わずじーんと来てしまうA。
まさかこんなところで自分がゴーストの温かさに触れることになるとは、誰が予想できるだろう。そもそも「ゴーストの温かさに触れる」というワードが訳分からないというのに。
「ふふ、そうだよね……ありがとう! さすが人生の大先輩!」
「フフン、伊達に2回目の人生を生きてないのさ」
何それ、とAがくすくす笑う。ゴースト達もそれを見て微笑ましそうに笑った。
この光景を見れば、クロウリーの涙腺ダムは崩壊したまま3時間は修復不能になるだろう。
「よ〜し、それじゃあ……」
「『もうオンボロなんて呼ばせないぞ大作戦』! えいえい……」
「「「おーー!!」」」
「……A、何だい? その作戦名」
「今思いついたの!」
「な、なるほど」
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ヒメアミ(プロフ) - もちうさぎさん» お話が進んだりユニーク魔法とかがお披露目になったりすると多分速攻でバレる(?)と思うんですけど、一応某塔の上のプリンセスを元ネタにしてます……!😌 (2023年4月9日 14時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
もちうさぎ - 夢主ちゃんのモデルって誰ですか! (2023年4月9日 5時) (レス) id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ゆあさん» マジですか何よりでございますわ!!🥰彼にはただのマブで終わらず頑張ってほしいですね(誰目線?) (2023年4月7日 17時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - もう今回も最高でございましたわ!エースと仲良くなっちゃって!そのままくっつけー!!という願望 (2023年4月6日 22時) (レス) @page20 id: ce509c1850 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ゆあさん» コメントありがとうございます!! 続け方には気を付けてるのでそう言っていただけて何よりです〜〜😭 頑張ります!!💪🏻 (2023年4月4日 12時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
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