P−10◆始まりの前夜 ページ13
.
何故だか胸がざわつく。
嵐の前の静けさというか、台風の目の中というか。
本当に明日が来ていいのか、そんな自分でもよく分からない漠然とした気持ちが身体の周りを包み込んでいく。明日が来ないように、なんて出来るわけないのに。
──オンボロ寮の修繕は何とか終わった。
勿論、直せるところや改善点はまだあるが、それは入学後追々でも問題ないだろう。在学中の自宅として目立った支障はなく日常生活を送れるまでになったのだから、本当にゴーストや魔法様様だ。
Aの
修理に使えるかも……と思ってはいたが、いかんせん建物自体と家具類が、壊れてから時間が経ちすぎていた。休憩時間の暇つぶしとしてゴースト達に披露したら、ひどく驚いたりはしゃいだりしていたっけ。使いすぎに気をつけるよう言われたけれど、それはA本人がいちばんよく承知している。
──それにしても、男子校にこんな可愛い女の子が入学、ねえ……。俺たちが着いて行こうか？
『もうオンボロなんて呼ばせないぞ大作戦』挙行初日にゴーストにかけられた言葉が、今更ながら脳裏に蘇ってくる。
──大丈夫だよ、そんなに子供じゃないんだから、と笑って返事をした時には少し胸がずきっとした。
不安は、ある。大丈夫か大丈夫じゃないかで言えば、大丈夫じゃない。
そもそもAには、そう沢山男子と喋ったり遊んだりした記憶が残っていない。原因はまぁ
エレメンタリースクールは途中から女子校へ転入になったし、ミドルスクールは最初から女子校だった。割と真剣に幼き日以来だ。
何度考え直してもやっぱり、ハイスクールでぶっ込まれる男子校の唐突さが凄い。
みんなは自分のことを、受け入れてくれ──なさそうな気がする。
一応闇の鏡に「魂の素質」についてはお墨付きをいただいたし、７つの寮のうち、適したものも教えてもらった。寮生と気が合うと良いのだが。
クロウリーの持ち出した、「試験的女子生徒の導入」という６秒ぐらいで考え付けそうな建前にもツッコミどころは盛りだくさんだろう。
さあA・クロウリーは入学式や初登校日の周囲からの諸々の思惑が込められた視線に耐え抜くことはできるのか──心の中の自分が実況席に座り出してしまった。いい加減早く寝なければ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 644人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヒメアミ(プロフ) - もちうさぎさん» お話が進んだりユニーク魔法とかがお披露目になったりすると多分速攻でバレる(？)と思うんですけど、一応某塔の上のプリンセスを元ネタにしてます……！😌 (2023年4月9日 14時) (
レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
もちうさぎ - 夢主ちゃんのモデルって誰ですか！ (2023年4月9日 5時) (レス) id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ゆあさん» マジですか何よりでございますわ！！🥰彼にはただのマブで終わらず頑張ってほしいですね(誰目線？) (2023年4月7日 17時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - もう今回も最高でございましたわ！エースと仲良くなっちゃって！そのままくっつけー！！という願望 (2023年4月6日 22時) (レス) @page20 id: ce509c1850 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ゆあさん» コメントありがとうございます！！ 続け方には気を付けてるのでそう言っていただけて何よりです〜〜😭 頑張ります！！💪🏻 (2023年4月4日 12時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
