Ep.1-7 ページ10
Aside
『…それはごめん。』
「何故半月と嘘をついた？」
少しの沈黙の後、僕の肩に顔を埋めながらマレくんがやっとまともな会話をし始める。
『あ…それもごめんね？こっちの伝達ミス。』
「用事、というのは帰省だったかの？
なればまぁ、有り得なくもないのう」
リリアくんの言う通り今回は帰省の為に学校を休んだ。
それはちゃんと学園長にも報告して許可をもらった。
しかし問題はこことあっちでは時間の進みに倍近くの差があること。
あっちに半月いたらここでは半年経ってしまう。そこを考慮せずに学園長に半月だけ空けると言ってしまった。
後で気づいてちゃんと学園長に話したはずなんだけど、あの人話してないな…。
『はぁ…嘘じゃないから、ごめんね〜』
学園長に呆れながらマレくんの頭をゆるく撫でていいると、談話室の扉が荒々しく開く。
「リリア様！！若様が……なっ！？
おい！そこの人間！！若様から離れろ！！！」
「……A？」
突然入ってきては大声で怒鳴り散らす黄緑髪の男と遅れて入ってきた驚き気味のシルバーくん。
失礼だな、僕だっていち早くマレくんから離れて休みたいよ。
「これセベク、Aに失礼じゃぞ」
「Aは人間ではない」
『いやマレくん……あってるけどさ…。』
突っ込むとこ違うでしょうに…。
「まっ…マレくん！？どういう事ですか！！リリア様！！！」
「…はぁ、うるさいぞセベク。Aはマレウス様の古くからのご友人だ。」
このままでは埒が明かないと思ったのかシルバーが僕の説明を軽くする。
自己紹介しなきゃなと思い、マレくんの腕をトントンと叩けば、意図を汲んだのか解放される。
『うん。まぁ、お友達。
A・サンチェス。よろしくね、セベクくん。』
彼の近くに行き、手を出す。
身長高いな…フロイドくんより高そう…とぼんやり考える。
「セベク僕の友人に無礼を働くな。」
中々握手をしないセベクくんに痺れを切らしたのかマレくんの冷たい声がセベクくんにかかる。
「っ…申し訳ありません。
セベク・ジグボルトです…。」
一礼した後、握手をしてきた彼に苦笑を浮かべた。
マレくんパワー強すぎ……
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作者名：詠(ながめ) | 作成日時：2020年5月16日 21時
