【ツイステ】汝、大罪を従えし者【男主】 (ページ38)

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Ep.2-15 ページ38

フロイドside

「Aお疲れ～」

一通り満足したのかAが椅子から立ち上がったのを合図に、オレたちはAの方へと歩いていく。

Aの演奏は大好き。
単調なクラシックだけじゃなくて、アップテンポな曲とかジャズとか色んな曲を弾いてくれて飽きないから。

『ありがと、フロイドくん。』

「Aさん、素晴らしい演奏でした。」

“これをどうぞ”とアズールがドリンクをAに手渡す。

『いいの？ドリンクもらっちゃって』

「さ、疲れたでしょう？あとは任せて貴方は部屋で休んでいてください。」

3人でAを囲んで連れ歩く。

もちろんオレとジェイドで牽制をしながら。

「オレもAに着いてく～」

休憩を進めたジェイドとアズールにそう言ってAを部屋へ案内する。

後ろでなんか言ってるけど知らなーい

Aがいないんだったらここに居る意味ないしぃ、そもそも“オレと一緒にいる”って契約だし。

『なんか言ってたけど大丈夫？』

…あー、つまんね

「べつにー、オレがいなくたって回るからいいでしょ」

契約者はオレなのに、オレがいるのに他のこと考えてるAに気分が下がる。

「こっち来て」

オレの横に座ろうとしたAの腰を引き寄せて膝に座らせる。

絞めないように腕を回して肩に頭をぐりぐりと押し付ける。

ちっさいし、ほっそい…

『っ、ふふ…くすぐったいよ』

そう言って小さく身を攀じるAをぎゅっと抱きしめた。

おでこにちょっと触れてる肌が、布越しに伝わってくる息遣いと体温が、ちゃんとここに居ることを証明してくれる。

それだけで安心する。
単純だよね、でもそれでいいや。

「…あのね、オレさ、Aがいなくなってさ、すっげー心配した」

『？うん。』

「Aは知らない間に消えちゃうから、不安だった…」

『…少なくとも、僕が卒業するまではここにいるよ』

だから安心してって、言葉では言ってないのに、頭を撫でる優しい手が教えてくれる。

狙ってるかは知らないけど、Aはいつも欲しい言動(もの)をくれた。

他人の気持ちをすぐ汲み取って、欲しいものを与える。
そのくせウツボ(オレ)の求愛行動には首を傾げるくらい自分への感情には気づかない。

こんなに距離は近いのに…って思うけど遠いよりかはマシだよね。

そう考えてるオレはやっぱ単純。