【ツイステ】両手に薔薇 (ページ3)

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出会い2 ページ3

リドル寮長に連れられ、ハーツラビュル寮に足を踏み入れる。
入学式の日、"闇の鏡"に適性な寮がないと腫れ物扱いを受けた私だったが、その後の寮長会議にてこの"ハーツラビュル寮"に入ることが決定したらしい。

ひょんなことから"闇の鏡"に導かれ、この異界"ツイステッドワンダーランド"にある名門魔法学校、"ナイトレイブンカレッジ"に入学(といいつつもただの居候)することになった。

とは言いつつも、"ただの平凡な"人間の私は魔法なんて使える訳もなく、それを見兼ねた学園長のが｢それではあなたに特別にボディーガードをつけて差し上げましょう、私優しいので｣とかなんとか。
そんなこんなで、今から私を守ってくれるらしい人に会うそうだ。

｢さあ着いたよ。今呼んでくるから君はここで待っていてくれ｣

しばらくしてリドル寮長は二人の男子生徒を引き連れて戻ってきた。
一人は赤髪に頬にハートマークのある見るからに悪そうな、もう一人は反対に黒髪に頬にスペードマークのある、いかにも真面目そうな人だった。
この対象的な二人はとても気が合いそうには思えないが、大丈夫だろうか。
私はこの二人と、これから学園生活を送らねばならぬというのに。
一抹の不安が胸をよぎる。

｢今回君たちに護衛を頼むAくんだ。｣
｢ど、どうも...｣
｢さあさ、君たちも自己紹介をしたまえ｣

あからさまに面倒くさそうな顔をされて少し胸が痛む。今回の件、一度は断ったものの、学園長は頷いてはくれなかった。この学園では何が起こるか分からないから、と。

｢俺はエース・トラッポラ｣
｢僕はデュース・スペードだ。よろしくな｣
｢わ...僕はAです。よろしくお願いします｣

"私"と言いかけてしまったけれど、これから男のふりをしていかなければならないのだ。
常に誰かを騙している罪悪感に駆られながら生活していかなければいけないというのはすこし辛いが、今はそんなことも言っていられない。
この学園に置いてもらうためにはこの違和感にも慣れていかなければいけない。

｢じゃあ、僕はそろそろ行くよ。寮長はやることが山積みなんだ｣
｢あ、ありがとうございました｣
｢君たちくれぐれも仲良くね｣

じゃ、と行ってしまったリドル寮長の背中をぼんやりと眺める。
これから始まっていくのであろう異界での学園生活、不安で胸が張り裂けそうなのをぐっとこらえた。