【ツイステ】両手に薔薇 (ページ12)

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たわいのないページ12

｢つめたっ...｣

先生に事情を説明し、冷やすものを貰いおでこに当てるデュース。
時計はとっくに授業開始時刻を回っていた。

｢ごめんねデュース、遅刻した挙句怪我までさせちゃって...｣
｢気にすんなよ、避けられなかった俺も悪いし｣
｢いや避けられるものじゃないよ！？｣

まあな、と眉を下げて笑う。
きっと彼なりに気を使ってくれているのが伝わった。

もう大丈夫です、と先生にことわって医務室を出た。
誰もいない静まり返った廊下に、二人の足音だけが響いている。
窓から差し込む光が床に落ちてキラキラと輝いているように見えた。

｢1時間目は確か...魔法史だったか...？｣
｢うん｣
｢あの先生、怖そうだな｣
｢確かに｣

何となくだけれど、魔法史の先生の顔を思い出して苦笑した。
いつも寡黙な先生ほど、怒ると怖いというのはあながち間違えではない気がする。

｢走るか？｣
｢えっ...？｣

私の答えも待たず走るぞ、と私の手を引いて走り出したデュース。
風を切る頬。
掴まれた腕がやけに熱く感じる。
盗み見た横顔があまりにも綺麗で思わず息を飲んだ。

教室に着くと当たり前のように授業は始まっていて、トレイン先生に酷く睨まれた。
エースの隣に座ると、どうしたのかと聞かれ、デュースのおでこを見てケラケラと笑いだした。
そしてうるさい、とまた先生に怒られた。
まだ一日が始まったばかりなのに、走ったせいかぐったりと体が重く感じた。

今日も慌ただしい一日が始まる。