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夕食の時間の少し前。
グリムがカリム先輩やジャミル先輩と一緒にいるうちに、俺は電話をかける。
相手はもちろんライヴさんだ。



結局帰れず、言われたとおりにする。そしたらまぁ、助けてくれる、と、思うんだけど………かけてみなきゃわからない。



何コールかした後、受話器越しにライヴさんの声が聞こえた。




ユウ「ライヴさん、ダメでした……どうしたら……」


[ぬいぐるみ…とりあえず、持って、外出て]


ユウ「外ですか?」


[そう。……人気の少ないところが、いいんだけど]


ユウ「……?わかりました!」




電話は繋いだまま、とりあえず指示されたように、ぬいぐるみを手に外に出た。
人の少ない場所って何処だ?んん〜……寮の裏、とか……?



とりあえず、光はそこそこあるけど人通りは少なそうなところへ移動。
多分ここでいいはず。




ユウ「移動しました!」


[ん………ぁ、と、お、お腹のあたりに、息吹き込んで、ほしいんだけど……]


ユウ「どれくらいですか?」


[…なるべくたくさん、一息で]




……こういうのってやるべきじゃないと思うんだけど……
この世界は心霊現象とか特になさそうだしいいのかな。いやそもそもダメだったらライヴさんはこんなこと言わないか。



深く息を吸って、肺の中の空気を全部出す。
…一体これが何の役に立つんだろう……?




ユウ「一応、やりましたけど……」


[スマホ、スピーカーに切り替えて、ぬいぐるみと一緒に地面に置いて。できたら、耳あたりに]


ユウ「えーっと………はい!置きました!」




地面に2つを置いて、少しだけ離れる。
軽く息を吸う音がして、またライヴさんの声がした。




[……目を覚ませ、夜が更けるぞ。さぁ、飛べ]


ユウ「………わっ、え、ライヴさん飛んでます!」


[……よかった。]




フクロウのぬいぐるみは瞬く間に浮上していき、どこかに飛んでいった。
あれかな、あの〜、ハーツラビュルに飛ばしたって言ってた感じの?



スマホを拾ってスピーカーモードを切り、耳に当てる。




ユウ「今日はお家ですか?」


[や、ラギーの、家…明日、帰る]


ユウ「そっかぁ。ホリデー、楽しんでくださいね」


[……寂しくなったら、電話して。いつでも]


ユウ「優しすぎて涙出そう…………」




本当俺って人に恵まれたなぁ……
電話が切れたのは寂しいけど、大丈夫大丈夫。あとちょっとの辛抱。

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作者名: | 作成日時:2020年10月16日 20時

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