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「ライヴ、ラギーちゃん来たよ」
『ッ！？ちょ、ノック……』
「したけど返事してなかったから」
部屋で読書中、集中してたせいで周りの音が聞こえていなかったらしい。
集中しすぎるのも良くない、かもしれない。
コンパクトにまとめた荷物を持って店まで降りていく。
下ではラギーと父さんが楽しそうに話していた。本当に……誰とでも仲良くなるじゃん。
俺に気が付くと、いい塩梅で話を切り上げた。
『遅れて、ごめん、待たせた』
ラギー「全然！なんならオレ早く来ちゃったんで！」
"さ、行きましょ！チビたち待ってるし"とラギーは朗らかに笑う。
ちらりと母さんを見ると、優しく笑っていた。……長らく心配かけてたらしい、申し訳ない。
きっと俺が面と向かって話せてることに安心したんだろう。
2人に手を降って店を出る。
ラギーの話を聞きながら、公共交通機関を使って夕焼けの草原、スラム街へ。
正直家まで来てもらうのは申し訳なかったけど、自分が頼んだことだから往復でもいい、らしい。その辺のラギーの金銭感覚はよくわからない。いいなら何でもいいか。
ラギー「ライヴくんはコッチ。この辺はオレみたいなのが多いんで、すぐ財布スられちまうッスよ」
『……ラギーは、取られたって、気付く？』
ラギー「んー……取りそうだな〜とかはわかるッスけど…スられたこと無いんでわかんないッスね」
まぁそりゃそうか、気付かないから被害が大きいわけだし。
どこの街もそこそこの問題を抱えてるんだな。環境の違いってすごい。少しばかり感心していると、ラギーが突然足を止めた。
ラギー「ライヴくんライヴくん」
『……何、って、ぁれ』
ラギー「気付いたッスか？」
にんまりと笑うラギーの手には俺の財布が。
嘘だろ、カバンに入れてたはずなんだけど、あれ？そんな簡単に取れるもん？？
ていうか普通に気付かなかった。
ラギー「隙ありすぎッスよマジで」
『隙……』
ラギーから受け取った財布をカバンにしまう。もう取られないようにしっかりしないと………そんなにお金は入ってないけど、取られると普通に困る。
そこから少し歩くと、随分賑やかになった。
小さい子の声。これは向こうとそんなに変わらないな。
ラギー「おーい、来てくれたッスよー」
ぴたりと子供の声が止無も、すぐに軽い足音がいくつも増える。
あぁ、また囲まれるのか俺………
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作者名：諒 | 作成日時：2020年10月16日 20時
