【ツイステ】 Stoneface__BORDEAUX.【男主】 (ページ13)

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『……久しぶり、ジェロディ』

墓地に訪れた俺は、そっと墓石に献花を添える。
幼い頃、俺と仲良くしてくれた親友のジェロディ。毎年ホリデーと命日には欠かさず来るようにしている。

『……俺、随分成長したけどさ、わかる？覚えてる？』

返事なんて来ない。そんなのはわかっている。
聞こえてくるのは穏やかな風の音と鳥の囀りだけ。虚しいけれど、心地良くもあった。

ジェロディの墓はとても綺麗に掃除されていた。
周りの雑草だって手入れしてあるし、墓石も綺麗。きっと親御さんが頻繁に掃除してくれているのだろう。

『後輩ができたんだ。すごくいい子でさ、きっとジェロディとも仲良くなれる……』

優しいユウなら仲良くなれる。性格だってすごく似ているし、歩調も合うはずだ。
俺でさえ合っているんだから、合わないはずがない。

……ジェロディが生きていたら、また世界は違ったんだろう。
俺はきっと今以上に話せていたかもしれない。ユウの過保護も解けていたかもしれない。

失った過去に嘆いていたって仕方ないのはわかっている。
でも縋らずにはいられない。だってジェロディは、俺の唯一で命くらい大切な友人だったのだから。

『……やっぱり、お前がいなきゃ、寂しい………』

ポタポタと涙が頬を伝って落ちていく。
あぁ駄目だ、泣いたらまたジェロディに怒られる。これだから、って怒られてしまう。

涙を止めようと幾ら拭っても涙が止まることはない。
ただただハンカチが濡れていくだけ。あの日のことが鮮明になって瞼の裏に映る。

忘れたくても忘れられないあの光景。
どんな喜びでも上書きできない絶望感。
未だ耳から離れない悲鳴。
じわじわと地面を染めていくボルドー。

すべてがついさっきのことのように思い出される。
辛くて苦しくて堪らない。
ずっと囚われ続けてる。俺だけが、あそこから抜け出せないまま。

『……ジェロディ、俺は恥じない生き方をできてるんだろうか』

力なくその場に座る。
わからない、わからないよ、ジェロディ。
俺は助言がほしい。……また俺は大切なものを失うのだろうか。

『神は、俺を見捨てたのかな』

静まり返った墓地で1人涙を流す。
あの日のことを思い出して、自分で自分を苦しめながら。

◇◇◇◇

ジェロディ・マヌエーレ

ライヴの唯一の友人。
______が原因で自死。優しく勇敢な子だったとか。

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