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あれよあれよと時は進み、俺は今ジャックと共にモストロ・ラウンジのVIPルームにいる。
それはもううちの寮とは比較できないくらいに美しい。惨めになるよぅ。
店内にいたのは客と、制服を着た店員と、イソギンチャクが生えた生徒たちだった。見るに耐えないとはこのことだろうか。
アズール先輩の話も、もうどうしようもない。手の施しようがないのだ。
だから、俺は自然と口走っていた。"自分も取引をする"と。
フロイド「あはっ。小エビちゃん、度胸あるじゃん。」
アズール「あなたが僕と取引したいのは分かりましたが……しかし困りましたねぇ、確かユウさんは魔法の力をお持ちでない。
それだけ大きなものを望むのでしたら相応の担保が必要です。」
ユウ「担保……」
アズール「たとえば……貴方が管理しているオンボロ寮の使用権、とか。」
眼鏡のブリッジを指で持ち上げアズール先輩は言った。
さて、どうしたものか。もちろんグリムや皆のことを救いたい。でも寮を担保にってなると、ライヴさんの許可が必要だ。
いくら俺があの寮の監督生と言えど、独断では決められない。
グリムは"その話に乗った"って言うけど………んん、ここはジャックの忠告に従うべき?でもな、待ってたらもっと酷い状況に成りかねないし…
なにより学園長が面倒くさい。
アズール「どうします?オンボロ寮を担保に、僕と契約なさいますか?」
ユウ「契約の条件を聞かせてください。」
条件は、3日後の日没前までに産後の海にある記念博物館で写真パネルを取ってこいとのこと。価値がないなら何故それを……?
魔法薬で水中でも息ができるようになるらしい。
アズール「さあ、どうします?僕と取引し、契約書にサインしますか?……僕もヒマではないんです。早く決めてください。さあ………さあ!」
ユウ「………契約、します!」
心の中でライヴさんへの謝罪を述べる。目の前のアズール先輩は嬉しそうに笑った。
言われたとおり契約書にサインをし、それを渡す。
アズール「もし奪ってこられなければ、オンボロ寮は僕のもの……そしてライヴさん含めあなたも まとめて僕の下僕になってもらいます!」
"3日後、楽しみにしていますよ"とだけ言って、俺らはモストロ・ラウンジを後にした。
俺はというと、案の定心臓がバックバクである。怒られるだろうな、うううぅ…………
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作者名:諒 | 作成日時:2020年9月25日 22時