090 ページ40
リクエストのお話です。リクエストありがとうございました！
.
ピピピと無機質な音がなり、手元にある体温計を見ると、いつもと見慣れない数字が書かれていた。37.4...微妙だなあ、休むにも、休まないにも。疲労からではないいつもと違う頭痛を身体に訴えられ、引き出しの奥から引っ張り出して熱を測ると案の定平熱を上回っていた。けど現状、頭痛しか見られないし大丈夫か、と電車へと急ぐ。これを逃すと2限は受けられなくなってしまう。
何とかお目当ての電車に乗り、一息つく。通勤ラッシュからズレた時間だからか、車内はいつもより余裕があって、席に座ることが出来た。1人分空いていたところに向かうと隣からあ、と聞こえてきたので顔を向けるとそこにはそうくんがいた。
｢あ、僕の古参ファンのAちゃんだ｣
｢まだそれ言うんですか｣
もう、と拗ねたようにすると、Aちゃんの反応がいいからなあ、それが悪いよね、なんてくつくつと笑うので何だかやるせない気持ちになる。他愛もない話をしながら駅に着くのを待つこと数十分、アナウンスが聞こえてきて着きましたね、とたとうとすると一瞬視界がぼやけ、足に力が入らなくなった。少しずつ近づいていくかと思われた地面は、眼前に立つそうくんの腕によって遠のいていった。
｢え、大丈夫？いまふらってしたよね、もしかして貧血？あ、いや、なんかごめん、失礼な事聞いちゃって。あんまりAが体調悪いイメージなくて｣
きっとそうくんはお月様の日のことを想像していたんだと思う。一般的な女性の立ちくらみとかはその時に起こることが多いし。でも私はあまり重い方ではないので体調を崩しているイメージがないんだろうな、なんて重い頭で考える。
｢んーん、そうじゃなくて、ちょっと眠かっただけ、です。ありがとうございます｣
｢ほんとに？むりしてない？ほっぺたちょっと赤いし、腕には熱こもってるよ？熱があるとかじゃないんだよね？｣
さすが医学部と言うべきか、顔色から支えているはずの腕の体温まで把握して質問をしてくる。本当のことを言うとそうくんなら家に突き返されかねないからほんとに大丈夫です！と私よりも少しごつい腕を引っ張って車外にへと足を進めた。無理だけはしないでね、なんかあったら連絡してね、とたくさん世話を焼いてくれるそうくんにやっぱり推しだなあ、なんて変なことを考えながらはあい、と気の抜けた返事をした。さっきよりも頭痛がするのは気のせいだと目を瞑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 462人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おとわ(プロフ) - ゆっぴ/唯華cさん» コメント、リクエストありがとうございます...！今の小話が終わったら書かせて頂きます！ (2019年12月6日 8時) (
レス) id: c8d4633da7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっぴ/唯華c(プロフ) - 初コメ失礼します！頭楽しく拝見させていただいてます！リクエスト大丈夫ですか？風邪でふらふらな主人公ちゃんのお話が読んでみたいです！これからも応援しています！ (2019年12月5日 23時) (レス) id: 7ff6de5a8e (このIDを非表示/違反報告)
たそ。(プロフ) - おとわさん» そんな言ってもらえるほどの奴じゃないですよ！！こんな奴で良ければ仲良くしてやってくださいな。 (2019年9月17日 19時) (レス) id: 1c4af94c04 (このIDを非表示/違反報告)
おとわ(プロフ) - たそ。さん» コメントありがとうございます！たそ。様得なら何よりです...！ありがたい言葉を励みに頑張ります！！ (2019年9月17日 2時) (レス) id: c8d4633da7 (このIDを非表示/違反報告)
たそ。(プロフ) - 続編おめでとうございます！須貝さんがお兄ちゃんは我得すぎるので本当にありがとうございます←これからも更新楽しみに待ってます！！ (2019年9月16日 20時) (レス) id: 1c4af94c04 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おとわ | 作成日時：2019年9月15日 23時
